22年ぶりに公立の夜間中学が開校

日本語だけでなく、外国語も飛び交う教室。こちらは、川口市立 芝西中学校 陽春分校の『夜間中学』。
4月16日、公立としては実に22年ぶりに開校した。

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生徒の多くは外国人

星野泰久教頭は、「最初のほうは日本人が多かったが、だんだんと説明会をするうちに外国人の方が増えてきた」と話す。

実は、この『夜間中学』に通う生徒の多くが外国人。午後5時を過ぎると、生徒たちが続々と登校してくる。

芝西中学校陽春分校は、埼玉県では初となる公立の夜間中学だ。
文部科学省によると、現在、夜間中学があるのは、9都府県に33校。

夜間中学に通う全生徒1687人のうち、実に8割の1356人が外国人だという。

外国人が夜間中学に通う理由とは?

彼らはなぜ、夜間中学で学ぼうと思ったのか?

3年前に来日した中国出身男性(16):
それは…試験に失敗したからですね。勉強がだめで、高校に行けなくて。
日本語を学びたいです。高校に行きたいと思う。

7年前に来日したタイ出身女性(44):
日本に来てから、ずっと勉強し直したいと思いましたね。タイに住んでいる中学校の頃の成績がなかなかよくなかったので。

77人の新入生のうち、半数以上の4人が外国人。国籍は中国、ミャンマー、アフガニスタンなど実に13の国・地域に及ぶ。

夜間中学での授業・費用は?

そもそも「夜間中学」とは、家庭の事情や、不登校などの理由で、義務教育を十分に受けられなかった人のための学校だ。

授業は週5日、午後5時30分から8時45分までの4時間制
国語や数学、美術、体育など、昼間の公立中学と同じ教科を学ぶ。

公立のため、もちろん授業料はかからない。
川口市の夜間中学の場合、必要なのは、教材費や校外学習費など、卒業までの3年間で約3万6000円だという。

夜間中学では、自分の国で義務教育を受けられなかった外国人も受け入れている。

入学のための試験はない。
川口市では、埼玉県内に住む16才以上で、在留資格があれば、日本語がまったく出来なくても入学が可能だ。

夜間中学の外国人 将来は?

将来の夢について聞いてみると・・・

4年前に来日したアフガニスタン出身女性(26):
夢は、日本語が上手になって、自分の仕事で生かしたいです。レストランを開きたい。

卒業すれば、中学校卒業の資格が得られ、高校への進学や、職業訓練校に入り、就職に役立つ技術や知識を学ぶことも可能だ。

“言葉の壁”に通訳の配置も

一方、外国からの生徒に授業を行う上で問題となるのが、やはり言葉の壁だという。

星野泰久教頭は「外国人でまだ日本語が十分に習得できていない生徒については、日本語を中心に勉強して日本のマナーやモラルまで学んでもらおうと思っている」と話す。

生徒それぞれの日本語の習熟度によって授業のクラス分けを行ったり、教師とは別に通訳を配置するなど、外国人の生徒への配慮が多くなされている。

夜間中学の外国人・・・行政の課題は?

夜間中学に詳しい専門家の京都教育大学・岡田敏之教授は「夜間中学というのは、時代の状況を映す鏡だとも言われている」と指摘する。
そして、「外国籍の方が増えてきているので、やはり日本語指導の在り方、教職員の体制をどうしていくかというのが行政の課題ではないかと思う」と話した。

(「めざましテレビ」4月18日放送より)