福岡市が発注した小学校の増築工事で家が傾いたとして、住人の夫婦が、市に約9500万円の損害賠償を求める訴えを起こしました。
床に置いた途端、ひとつの方向に転がり出すビー玉。
部屋のドアは、触ってもいないのに勝手に開いてしまいます。
福岡市中央区平尾にあるこの住宅では、4年前から建物全体に傾きが生じています。
その原因とみられるのがー
◆記者
「傾いた住宅の真裏では、平尾小学校の体育館などを増築する工事が行われています」
「福岡市が発注した小学校の増築工事が原因で、家が傾いた」
住人の夫婦はそう主張して、福岡市と施工業者を相手取り、約9500万円の損害賠償を求めて8日、福岡地裁に提訴しました。
◆提訴した夫婦
「私たちにとっては1つ1つが思い出の地です」
訴状によりますと夫婦は、福岡市が発注し2016年から行われた平尾小学校の増築に関わる工事によって、自宅とその隣の賃貸用に所有する住宅で地盤沈下が起きたと訴えていて、2019年に作成された市の報告書にも最大10センチ以上の沈下が生じたとの記載があるとしています。
◆夫婦の代理人
「敷地脇の擁壁の所をだいぶ工事して、その過程で地盤沈下が生じた。qこのことについて、福岡市と建設業者の責任を問う」
20年以上前に中古で購入したという、夫婦の自宅を訪ねるとー
◆記者
「隙間が開いてますね」
◆妻
「そうです、徐々に開いてきまして、以前はきちんとしまってました。この辺の上もずっとひびが入っていまして」
天井や壁の至る所に隙間やヒビがあるのが分かります。
さらにー
◆妻
「これ、真ん中がたわんでいるのわかります?。当然これは開きません。ここでひっかかってしまいます。これは本来パタパタとなるけどこれは開かない」
窓口となっている福岡市教育委員会は、夫婦への説明を重ねると共に、工事が原因で地盤沈下が起きたことを認めて謝罪しました。
さらに補償金として3800万円余りの支払いを提示しましたが、双方の折り合いがつかず今回の提訴となりました。
◆夫
「これを地盤改良するためには、家を壊さないとできないと業者に言われた」
◆妻
「とにかく早く安心したい。ずっとこの数年不安の中でしたので、安心して暮らしたい」
提訴を受けて福岡市教育委員会は、「訴状の内容を確認してしっかり対応したい」としています。