店舗はないのに行列を作ると話題のパン屋さんがある。

営業時間は夜だけ。
一体、なぜ夜だけなのか?

東京・新宿区の神楽坂駅、午後8時。
徒歩1分の本屋さんの前に煌々(こうこう)と照らされる一角が。

並んでいるお客さんのお目当ては...。

客「これね、迷うね。え、迷うんだけど」

スタッフ「これとこれで。ありがとうございます」

次々とパンを買っていく客。

街のパン屋さんは、その多くが翌日の仕込みのため、午後7時には閉店する。

この「夜のパン屋さん」は、そうした通常営業するパン屋さんが売り切れなかった商品を販売している。

本屋さんの店先を借り、2020年10月にオープンした。

この日並んだ食パンは、1斤330円(税込み)。
イタリアのパン・チャバタは、1つ220円(税込み)。

集めた商品はいずれも、それぞれのパン屋さんの価格で販売している。

営業は木・金・土の週3日、午後7時から売り切れるまで。
営業日にはお客さんが続々と訪れ、行列を作る。

その魅力は...。

30代「週末のワインのお供に、詰め合わせを買いました。1カ所でいろんなパンが買えるのも楽しみ」

袋からあふれるほど食パンを買った女性は...。

40代「毎週来てるんです。きょうは食パン。お友達とかにあげたら、パンがおいしかったって言われて。あげようと思って、(食パン)4つ買っちゃいました」と話した。

中には、パン食文化の外国の方まで。

アメリカ出身・60代「わかるよ、おいしいっていうのは。外がちょっと硬めになっていて。おいしかった、おいしかった」

商品は全て売れ残り品。

そのための苦労も...。

スタッフ「当日にならないとわからない、パン屋さんが。いろんなパン屋さんの売れ残ってしまったパンを回収して夜に販売していて、人気のパン屋さんって完売しちゃうことも多いので、当日電話して『ありますか?』って聞いて」

客「『あります』って言ったらバーって!」

スタッフ「そう、取りに行って」

品ぞろえは、その日次第。
パンとの出会いも魅力の1つ。

スタッフ「ありがとうございます。本日完売です」

この日は、およそ100個用意していたパンが、午後9時半には売り切れてしまった。

なぜ、夜のパン屋さんを開いたのか。

夜のパン屋さん・野村きさら店長「大切に作られたパンが、閉店後っていうだけで捨てられてしまう。お金をかけて捨てるパン屋さんもあるので、すごくもったいないことだと」

目的は、食品ロスの解消。

夜のパン屋さんに買い取ってもらっている「ル・ミトロン食パン 目白店」は、日中、行列ができる人気店。

営業時間は午前10時から午後7時まで。
専門店とあって、棚には種類豊富な食パンが並んでいる。

午後6時半すぎ。
売り切れそうにないパンをスタッフが買い取りに来る。

この日は、食パン25斤が売れ残っていた。

ル・ミトロン食パン目白店のパン製造スタッフ「ゴミを作るために(パンを)焼いているわけではない。売れなくて廃棄するのはとても切ない。(夜のパン屋さんが)救ってくれるのは、こちらも救われる思い」

食品ロスをなくすため、週末の神楽坂に明かりをともす。