楽天から3年5億でFA移籍 ロッテ美馬が誕生

東北楽天ゴールデンイーグルスからFA(国内フリーエージェント)権を行使し、千葉ロッテマリーンズに移籍した美馬学投手(33)が3日、千葉市内のホテルで入団会見に臨んだ。

入団会見に臨む美馬と井口監督(右)(千葉市・12月3日)
入団会見に臨む美馬と井口監督(右)(千葉市・12月3日)
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出来高払いを含めて3年総額5億円(金額は推定)の契約を結んだベテラン右腕は井口資仁監督、河合克美オーナー代行兼社長も同席する中、「今の気持ちはホッとしています。この日を迎えられて本当にうれしく思っています」と笑顔で語った。

現役時代に何度も対戦した井口監督は「投げっぷりのいい投手ですし、どんどんインコースを突いてくるので嫌な投手だと思っていましたが、味方になってうれしい。若手投手の見本になってもらいたい。ローテーションで回ってもらうのは当然ですし、開幕投手候補だと思っています」と期待を寄せた。

巨人、ヤクルト、FA宣言後も残留を認める楽天、そしてロッテとの4球団との交渉の末に、ロッテを選んだ決め手については「必要とされているのを一番感じました。井口監督をはじめ、松本尚樹球団本部長の熱い気持ちが一番の決め手になりました。アットホームないい球団だと思っていたので、その一員になれてうれしいです」と明かした。

また、ローテーションの軸として指揮官からの期待がかかる右腕は「しっかりローテーションを守れるところを評価してもらっているので、規定投球回を投げて、日本一になって井口監督を胴上げできるようにしたい」と意気込んだ。

亡き母へ 背番号「15」への思い

身長は169センチと野球選手としては小柄ながら、力のあるストレートで内角を果敢に攻める投球スタイルが売りの美馬。今季は25試合に登板して8勝5敗、防御率4.01の成績で、パ・リーグでは6人しかいない規定投球回に達した。

背番号は楽天時代と同じ「15」に決定。2017年に母親を亡くしている美馬。2017年オフに「31」から「15」に変更している。「楽天の時から思いを込めてつけさせて頂いた背番号。当時、闘病中だった母親の誕生日が1月5日だったので、その背番号を背負うことで、母に元気だったり、勇気を伝えられるかと付けさせてもらった背番号。そのままつけさせて頂いたことをうれしく思います」と感謝した。

今季ZOZOマリンで力投する美馬
今季ZOZOマリンで力投する美馬

さらに、好きなアイスはロッテの「雪見だいふく」という美馬に「雪美馬だいふく」の特大パネルがプレゼントされた。「昔から好きなアイス。びっくりしました。いつ準備したんだろう?と思いました」とアットホームなサプライズに喜んだ。

「雪美馬だいふく」のサプライズ
「雪美馬だいふく」のサプライズ

医療サポートもロッテ移籍の決め手に

2011年の楽天入団以来、学生時代も含め右ひじを6度も手術している美馬にとって、ロッテの医療サポートも移籍の決断を後押ししたという。「今までケガも多かったですし、色んなところでコンディションを考えてくれるのが心強いです。サポート環境がしっかりしているのも決め手でした」と明かした。

医療サポートもロッテ移籍の決め手に
医療サポートもロッテ移籍の決め手に

ロッテは、2020年から順天堂大付属医院(及び浦安病院)と提携。これまではチームトレーナー主導の体制だったが、今後はチームドクターがIoTシステム(電子カルテ)で選手の体調を常に監視し、24時間体制の医療体制で選手をサポートすると発表している。右ひじに不安を抱える美馬にとっては故障を未然に防ごうという新たな試みも好印象を与えた。
「これまでケガの時もネガティブになることなく、やってこれた。自分のやれることをやる。そういうところも見せていけたら、若手もついてくると思うので、しっかりやっていきたい。本当に近年、ロッテは若い投手がたくさん出てきているので、その中に僕が入ることで引っ張っていきたい」と決意を新たにした美馬。
“背中で若手投手を引っ張る”頼もしい右腕が、新天地でチームを日本一に導く。

背中で若手投手を引っ張る背番号15の美馬
背中で若手投手を引っ張る背番号15の美馬

(フジテレビ・加藤忍)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。