国会を早仕舞いする理由
来週9日に国会は閉幕し、政治の世界は税制改正と予算編成一色になる。
国会は日米貿易協定は承認したものの、当初成立を目指した国民投票法案は早々に諦め、会期は延長しない見込みだ。
安倍首相が国会を「早仕舞い」する理由は、菅原、河井両大臣の辞任、英語民間試験の延期、そして桜を見る会と政権のミスが続いたので、野党の攻撃に晒される国会はさっさと閉じちゃおう、という作戦だ。
それにしても不思議なのはどれも長期政権による緩みが招いたチョンボなのだが、後始末は素早かった。
閣僚はすぐ更迭したし、英語試験もすぐ延期、桜を見る会も来年度は中止にしてしまった。
国民はまだ安倍さんに怒っているが・・・
桜を見る会については最新の世論調査(毎日新聞)でも「首相の地元後援会関係者が多数招待されたことは問題」と答えた人が65%もおり、国民はこれについては安倍さんに対してまだ怒っている。
毎日新聞の調査で面白いのは自民の政党支持率が36%と変わらないのに、立憲民主が9%から8%に下がっていることである。
つまり国民は安倍さんに怒っているが、桜を見る会の追及に明け暮れる野党にも腹を立てている。そんなことばかりしてるんじゃないよ!ということだ。
この辺りが野党の追及の迫力の無さの理由だろう。とても政権を退陣や解散に追い込むような勢いはない。
一強のおごりと批判されても改革をせよ
だから安倍政権のやり方を見ていると、「これなら国民は怒らないかな」と国民の顔色を伺いながら、当たり障りのない政権運営をしているようにもみえる。何かあっても逃げ足が早いのだ。
桜を見る会は今後どうなろうと構わないが、英語の民間試験はあんなに簡単に5年も延期すべきではなかったと思うし、憲法審査会の国民投票法案ももう少し頑張って欲しかった。
あまり無理をせず、時間をかけて改革を進めてきたからこそ安倍さんは憲政史上、最長の首相在職日数を更新した。ただ安定を求めるあまり、変化を恐れてはいないか。
政権は9月に「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げたが、高齢者の就労を促すために廃止しようとした「在職老齢年金」は一転存続がほぼ決定、さらに後期高齢者の医療費2割負担も実現には時間がかかりそうだ。いずれも厚労省周辺の抵抗勢力が頑強に改革を拒否している。
力のある政権はたとえ一部から批判されようとも国にとって必要な改革は実現させる義務があると思う。たとえ一強のおごりと批判されようと、安倍さんには是非この国を変えてほしいのだ。