全国に約20万人いると言われている小児がんなど難病の子どもたち。

長期入院ともなれば、母親は付添い看護を余儀なくされ、家族バラバラの生活が続いてしまう。

そんな子どもたちのために、15年前、公益財団法人「そらぷちキッズキャンプ」事務局長の佐々木健一郎さんは、アジアで唯一の難病の子どもたちとその家族のための医療ケア付きキャンプ場を作った。

それが北海道・滝川市の「そらぷちキッズキャンプ」。

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「外で遊ぶことが夢だという子どもたちがいるんです。じゃあ、北海道の大自然の中に作りましょう」ということがきっかけでできたキャンプ場。

企業や自治体などの支援を受けながら、年間10回ほどの開催で、約100人の子どもたちとその家族を無料で招待。

冬はそり滑りやカマクラ作り、屋内カーリング、夏は乗馬や森林探索など、北海道の雄大な自然と触れ合う多彩なアクティビティを用意している。

楽しい思い出を胸に刻んでほしい

初めての雪遊びに大興奮の子どもたち。

一見元気そうに見えるが、小児がんなどの重い病と日々闘っている。

参加を希望しても、病状が悪化したり、主治医の許可が出なければ参加することはできない。

佐々木さんたちスタッフは、キャンプ直前まで病院や家族と密に連絡を取り合う必要がある。

東京から来た5歳のりょう君は、抗がん剤の治療を繰り返している。

母親は病院に泊まり込み、兄弟とはいつも離ればなれの状態。りょう君の母親は「入院中はなかなか外に出られないので我慢させてたんですけど、まさか家族みんなで出掛けることができるとは思っていなかった」と明かした。

家族との楽しい思い出を胸に刻んでほしい、という思いが込められているこのキャンプ場を佐々木さんは「医療ケア付きキャンプ場はアジアには一つしかないので、まずは日本の子どもたち、その先はアジアの子どもたちを呼べるようにという理想を持っています」と話した。

全国のボランティアがサポート

この「そらぷちキッズキャンプ」の活動は、全国から集まるボランティアによって支えられている。

佐々木さんは「思いの強いボランティアさんが集まっています。彼らのホスピタリティは、子どもたちや家族が喜んでくれる大きなものだと思います」と明かす。

かまくら造りに施設の掃除、食事もボランティアの手作り。地元から寄付された新鮮な食材を使って、刻み食など子どもたちの病状に合わせた食事も用意している。

さらに、医療設備も完備している。

医療専門スタッフが急な体調の悪化に対応したり、消毒や吸引などの日常的な医療ケアを行う。付き添い看護でいつも気を張っている母親もホッと一息つくことができるのだ。

ボランティアの男性は「大変な思いをされているご家庭があるというのを肌身で感じます。少しでも助けになればと思っています」と話した。

キャンプ最後の夜は、ボランティアたちと涙の別れ。

そして、見送るボランティアたちは「絶対、またおいで!」と思いを込めて手を振り続ける。

佐々木さんは「多くの仲間たちで一緒に作ってきたというのがありますし、これからも多くの仲間を見つけていきたいと思います。みんなで支え合おうよという社会をもっと、発信していきたい」と思いを明かす。

佐々木さんと仲間たちの思いが未来の大きな力につながっていく。

SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。
https://www.fujitv.co.jp/futurerunners/sdgs.html