「分身ロボット」で副大臣が会議!?

12月6日、内閣府の平将明副大臣は「分身ロボット」を使った会議の実証実験を行った。ロボットを使った会議とは、なかなか想像がつかないが一体どんなものか…その様子を取材しに、内閣府庁舎にある副大臣室を訪れた。

部屋に入ると…、そこに平副大臣の姿はなかった。目に入ったのは「内閣府副大臣」と書かれた札の隣に鎮座するロボットだった。

このロボットは、難病のALS患者である、れいわ新選組の舩後参院議員が国会での使用を提案したことで話題となった「オリヒメ」というもの。この実験においては、いわば平副大臣の「分身」だ。

役所の担当者は資料をもとに、この遠隔操作できる分身ロボット「オリヒメ」についての説明を行っていく。何とも映画のような設定だが、担当者は真剣な面持ちだった。

「分身ロボット」での会議の様子は…

実証実験は「副大臣が外出中に、副大臣室にいる担当者から業務報告を受ける」という想定で行われ、平副大臣は千代田区永田町の内閣府庁舎から港区の芝公園周辺まで副大臣車で移動をしながら、「オリヒメ」を遠隔操作して会議に参加した。

「オリヒメ」の額にはカメラが付いており、副大臣は自身のiPadに映し出された映像を見ながら、必要に応じて自らの分身である「オリヒメ」の「顔を動かす」「手を動かす」などの操作を行った。

会議では、「シェアリングエコノミー」に関するイベントの報告が行われ、これを受けた平副大臣はロボットを通じて、「キッチンカーの活用など、災害においてシェアリングエコノミーを活用する可能性について検討してほしい」と実際に指示を出した。

担当者が一生懸命、副大臣の分身であるロボットに向かって報告をする姿は何ともシュールだが、「オリヒメ」は担当者の目を見つめ、時折瞬きをしたり手を動かしたりするような動作をするため、そこにはある種のリアルさがあった。

(iPadでの操作画面イメージ)

「分身ロボット」ならではのメリット

このように遠隔で会議をする方法としては、他に電話会議も挙げられるが、平副大臣は「ボディーがある方が、その場にいる『感覚』がある。(出席者を)見渡せるので話がしやすい」とメリットを訴える。今回の実証実験で業務報告を行った担当者も「目が合うので話しやすい」と、電話会議と比べての利点を指摘した。

ロボットが発言者に顔を向けるため180度向きを変えるなど、会議に実際に出席している人さながらの動きが出来るという意味で、私も導入の意義を感じた。なお、音の乱れなど、技術的な困難は、ほとんどみられなかった。

平副大臣は、科学技術、IT、男女共同参画、さらには防災と、担当分野が非常に広い。今回の実証実験の前にはトルコ出張、韓国出張、さらには所管大臣への緊急報告などをこなしており、「副大臣室にいなくても、移動中の『スキマ時間』を活用して会議が出来れば」とロボットを使っての業務効率化に向けた思いを語った。

「分身ロボット」のさらなる可能性と役所ならではのハードル

平氏は副大臣就任前にも、地元の東京・大田区の事務所に置いた「オリヒメ」を、国会内の事務所から遠隔操作して会議を行うなど、打ち合わせの効率化に活かしてきた。

(東京・大田区の事務所での打ち合わせ 8月6日)

ただ、行政機関である内閣府の副大臣として導入・活用しようとすると、そう容易ではない。秘匿性の高い情報を扱う場合のセキュリティ対策が必要となるうえ、直接顔を合わせるわけではないため、なりすましの防止も重要となる。

一方で平副大臣は「大災害が起きた場合、『オリヒメ』を介せば複数個所の被災状況をリアルに視察できる」「役所の『国会答弁レク』(早朝に行われる答弁要旨の勉強会)も遠隔で出来るため、働き方改革につながる」などと導入のメリットを強調。役所での導入に向けて試行を重ね段階的に導入していく考えで、次のように述べている。

「民間がITの活用、業務効率化の工夫を行っているのに、政府がやらないわけにはいかない。『日本の副大臣がロボットを使って会議している』ということを海外に向けて発信したい」

今回取材してみて、ロボットに対し報告を行う様子は大変シュールに映った。しかし、近い将来、役所の会議において「当たり前」の光景となっている可能性も、十分にあり得ると分かった。「霞が関の働き方改革」や「行政の効率化」が叫ばれる中、「見世物」の域を超えて、分身ロボットの活用と課題について真剣に議論する価値があると感じた取材だった。

(フジテレビ政治部 首相官邸担当 山田勇)