判決が集中する年末

オオシバくん:
最近、注目の裁判で判決が続いているよね?

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平松デスク:
そうだね。
裁判所もお役所だから、懸案にひと区切りをつけて新年を迎えようとする傾向にあるんだよ。
だから、年末や年度末、夏休みなどの長期の休み前に判決が集中するんだよね。
まぁ、これは僕たち一般企業でも同じだけどね。

死刑適用の判断基準となる『永山基準』

オオシバくん:
このところの注目裁判の判決ラッシュを見ると、『死刑の基準』について考えさせられるよね。

平松デスク:
福岡県で、自分の妻と子ども2人を殺害した罪に問われた元警察官の中田充(みつる)被告に対して死刑判決が言い渡された。
死刑を適用するかどうか判断する際の基準とされている『永山基準』(*注)に照らせば、今回の事件は、被害者が3人にのぼっているため、死刑を選択するのはやむを得ないと判断されたんでしょう。

一方で、新潟女児殺害事件では、死刑求刑に対して無期懲役が言い渡された。
この事件は被害者が1人だから、永山基準に照らしてみても死刑は選択できなかったのかもしれない。

永山基準については、『被害者が何人ならば死刑』と書いてある訳ではないが、過去のケースを参考を考慮すると、被害者が2人で死刑の可能性が大きくなり、3人以上だとほぼ間違いなく死刑、という傾向にある。

ただ、新潟女児殺害事件では、判決後記者会見に臨んだ裁判員の男性が『あまり過去にとらわれすぎると正しい判断ができないのでは』と問題提起をして、永山基準の見直しにも言及したんだ。

死刑判断が被害者の「人数」に縛られるのはおかしい

オオシバくん:
そういえば、神奈川県で起きた新幹線殺傷事件でも、被害者1人で無期懲役が言い渡されたよね?

平松デスク:
そうだね。
でも、この事件の小島一朗被告は、裁判の中で、
『無期懲役にして、刑務所に入れて欲しい』
『3人殺せば死刑になるから、2人までにしようと思った』
という趣旨の供述をしていたよ。

要は、永山基準を意識して、死刑にならないように犯行に及んでいたということ。
これは許せない話だよね。
過去には被害者1人で死刑が確定したケースもあるが、確かにそれは希なケースさ。

一方で、死刑判断が被害者の人数に縛られすぎるのはおかしいというのもごもっとも。
多くの一般市民がそう思っているのであれば、永山基準が変わっていく契機になるかもしれないね。

(*注)永山基準:判決で死刑を選択する際の判断基準のこと。1968年に、4人を射殺した永山則夫・元死刑囚の裁判で、最高裁が初めて示した判断基準。9項目から成る。

【執筆:フジテレビ 社会部デスク 平松秀敏】