山形県沖地震で被害...瓶が散乱

4つの酒蔵が軒を連ねる山形・鶴岡市大山地区。

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創業から300年以上、「出羽ノ雪」を代表銘柄とする渡會本店では、いつもの年より2週間ほど早い10月13日から新酒の仕込みを始めた。それにはある理由があった。

渡會本店・渡會俊仁社長:
ひょっとしておかしいところがあったら直さないといけなかったので、早く始めた。(地震後初めてラインを動かす時は)緊張した

6月の地震では、4つの酒蔵を合わせ約2万9000本の酒瓶が割れるなどした。

この酒蔵でも、地震直後は割れた瓶が散乱する冷蔵庫の片付けに追われた。
全国各地から遠くは沖縄の石垣島から来てくれたボランティアの助けを借り、片付けを終わらせたのは1カ月後。

県内の旅館やホテルが、汚れてしまった商品を買い取るという形で支援してくれたことも励みになった。

渡會本店・渡會俊仁社長:
(沖縄のボランティアは)レンタカーに寝泊まりしながら、3日間手伝ってくれて、本当に頭が下がる思い

初心に返って酒造り

水と酒米、麹をタンクに入れてかき混ぜる「櫂(かい)入れ」。

蔵人の手には、いつもの年以上に力がこもっているように見える。

蔵人:
酒を造って届けることで、元気な姿、半年たって酒造りしっかりできているということを伝えたい

渡會本店・渡會俊仁社長:
気持ちは1年生。初心に返って酒造りを進めているので、みんなに新酒を飲んでほしい

「新酒を届けることが恩返し」

12月15日、地区の商工会に多くの人が集まっていた。
毎年2月に開かれる人気イベント「大山新酒・酒蔵まつり」の前売りチケットを購入するため、販売開始を前に200人以上が列を作った。

長崎県から来た男性:
日本酒が好きなので、被災しても頑張って酒を造ることに消費という形で応援したい

当日は、4つの酒蔵を回りながら、新酒や自慢の酒を飲み比べできる。

中でも、日本酒と一緒に料理を味わえる「新酒を楽しむ会」は人気が高く、用意した140枚が30分で完売した。

西川町から来た女性:
毎年と変わりなく新酒まつりの開催が決まったと聞き、「これは行かなくては」と、チケットの販売日を楽しみにしていた

渡會本店・渡會俊仁社長:
(新酒造りを)どこか1つの蔵でもできなければ開催できなかったと思うが、「みんな頑張ろう」ということで開催が決まった。記念すべき25周年にみんな力を合わせてまつりを盛り上げたい

それぞれの酒蔵には、壊れたままの建物や設備もある。
それでも、今は「新酒を届けることが恩返し」と蔵人たちは前を向いている。

渡會本店では、11月27日から、2019年に仕込んだ新酒の販売を始めている。

6月の地震は夜に起きたため、大山地区の酒蔵でけがをした人はいなかったが、渡會社長は、「今後は日中の地震も想定して従業員を守る対策を考えていきたい」と話していた。

(さくらんぼテレビ)

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