大手コンビニが乗り出す“実質値引き”

まだ食べられる食品が捨てられてしまう、いわゆる「食品ロス」の問題。

スーパーなどでは期限切れが近い食品が「訳あり品」として格安で売られている光景もよく目にするが、今、コンビニエンスストアにもその動きが広まりつつある。

セブン‐イレブン・ジャパンは、2019年秋から全国2万店舗で、消費期限切れが近い商品でポイント還元による“実質値引き”を行う方針を決定した。

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たとえば、利用者が消費期限の迫ったおにぎりなどを購入した場合、電子マネー・nanacoのポイントが数パーセント上乗せされる仕組みだ。

一方、ローソンでは、消費期限の迫った商品に専用のシールが貼られ、このシール付き商品を午後4時以降に購入すると、価格の10%分が実質値引きされる仕組みを導入へ。

この10%の実質値引き分の半分にあたる5%は共通ポイントサービス・Pontaに還元され、もう5%は子育て支援などの寄付に充てられる

6月から愛媛県と沖縄県の店舗で試験導入されるこのシステム。結果次第では全国展開も検討するという。

「消費期限切れ」近い商品、買う?買わない?

2社が今回このような取り組みに乗り出した背景には、深刻な「食品ロス」問題がある。

「消費期限切れ」が迫る商品への値引き販売は、少しでも売れ残りを減らすとともに、利用者にとってもお得な「食品ロス対策」ということになる。

ただし、「消費期限」とは、過ぎてしまったら食べないほうがよい期限のこと。
よく似た「賞味期限」とは、おいしく食べることができる期限のことを指す。

値引きされるのは「食べない方がよい」リミットの迫った食品ということになるが…

この取り組みに街の声は?

20代男性:
(消費期限が近くても)すぐ食べるのであまり気にしないです

40代男性:
給料下がってますから、ポイントが付くなら(消費)期限が近くても買おうかな

60代女性:
(食品ロスは)いつも「もったいないな」っていうのは感じているんですよね。廃棄するよりは、提供する方がいいのかな

好意的な意見がある一方で、「期限ができるだけ先のものを買います」など、消費期限が近い商品を買うことに抵抗があるという声や、ポイント還元よりも「ジュース1本無料などの方がうれしい」などという意見もあった。

値引きが“時短営業”を支える?

しかし、24時間営業・定価販売が“常識”となっているコンビニが、このような食品廃棄への対策を始めたのはなぜなのだろうか?

フジテレビの風間晋解説委員は、コンビニの営業形態の変化にもその理由があると分析する。

加藤綾子キャスター
風間さん、食品などの廃棄というのは長年指摘されてきた問題だと思うんですが、なぜここに来てコンビニ業界が対応を始めたのでしょうか?

風間晋解説委員:
コンビニの24時間営業が変わろうとしている、それと同じタイミングですよね。営業時間が短くなれば売り上げも減ってしまいます。今までは廃棄していた1円の売り上げにもならない期限切れ間近の商品を販売することによって、売り上げも補うことができる。そういう面もあるのかなと思いますね。

他にも、ファミリーマートは期限切れが近い商品の値下げについて「加盟店が実施を希望した場合には意向を尊重し実施いただいております」とするなど、コンビニ大手が揃って乗り出す、“もったいない”を減らす取り組み。

食品ロスの軽減にどこまでつながるのか、その効果が注目される。

(「Live News it!」5月17日放送分より)