2019年も、Twitter上でもさまざまな投稿が話題となり、数万にわたってリツイートされる“バズる”体験をした人もいるだろう。
ただ、“バズりたい”という願望はあってもそうなるのは一握りで「実際バズったらどんなことが待ち受けるのか」は経験したものにしかわからない。
ということで、2019年に自分史上 最高にバズった投稿者に、当時体験したことからその後に起こった変化までを取材した。
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12年の歳月を経て、変わり果てた看板の姿…
ゆっくりと年月をかけ成長していく木だが、2019年5月に、12年の歳月をかけて木が“看板”を徐々に飲み込んでいく様子を、12年前と比較して見せた写真が、ネット上で大きな話題となった。
「寄居町の林道馬騎ノ内線の、木に喰われた #まといリス 。12年ぶりに行ったらまだいたけど、ほぼ飲み込まれる寸前だった!」
というコメントともに、ナノレカワ(@nanorekawa)さんが投稿したのは、木の幹の部分が看板を“飲み込む”衝撃的な画像2点。
左の2007年の画像では、木に看板の上半分ほどが飲み込まれるも、リスの画と「埼玉県」の文字はまだ何とか確認できる。
しかし、右の2019年の画像では、木が看板のほとんどを飲み込み、リスの画は足のほんの一部を残して見えなくなり、「埼玉県」の文字もかろうじて「県」のみ確認できる状態だ。
12年の歳月が経過した2枚の写真を見比べると、木が長い時間をかけ、看板を少しずつ飲み込んでいくさまがよく分かるようになっている。
ちなみにこの看板は、林野庁の山火事防止のもので、描かれている「リスのまとい」は山火事防止のシンボルだそう。
この目を疑うようなツイートに対し、「数億年後に化石として発見され、当時の木が金属を捕食していた証拠になるんですね」「人類が滅亡したら植物が全ての文明を飲み込んで浄化し新しい大地を形成するってことですね」などといった、ユーモラスかつ想像力豊かなリプライが集中。
それだけではなく、木に飲み込まれる別の看板、蛇口、鎖の画像が次々報告され、ナノレカワさんを「これもかなり凄いですね! メリメリッと音が聞こえてきそうです(笑)」などと驚かせた。
さまざまなコメントで大いに賑わった投稿は、 12月下旬までに約2.6万件のリツイートと、約5.4万件のいいね!を集めている。
(参考記事:木が“看板”を飲み込んでいく…12年前との比較写真が話題に 専門家に理由を聞いた)
投稿者のナノレカワさんは、林道ツーリングを趣味としていて、時間の取れた休日に出かけているとのことだが、2007年、埼玉県寄居町にある林道馬騎ノ内線を訪れた際、木が看板を半ば飲み込んだ光景を発見し撮影した。
そして、2019年の5月11日、12年ぶりに近くへ立ち寄ったところ、 木に看板がほとんど飲み込まれていたので再び写真に収め、2枚の画像を合わせてTwitterに投稿したそうだ。
そんなナノレカワさんはバズったことで、現在の木がどうなっているのか、また見にいってみたりしたのだろうか? そして、時の流れによる変化がありそうな「ここはもう一度巡ってみたい」と狙っている別の場所もあるのだろうか? 話を聞いてみた。
「12年前との変化にとても驚き、みんなにも見て欲しくて」
ーー普段はどういう内容を中心にTwitterへ投稿しているの?
ほとんどは、走ってきた林道の景色や林道で見かけた看板などの写真を投稿しています。
ーー“木に埋もれる看板”を投稿した際の気持ちを教えて?
12年前との変化にとても驚き、その様子をとにかくみんなにも見て欲しくて。帰宅後すぐに、変化が分かりやすいように過去の写真と並べて投稿しました。
ーー結果として、2.6万RT、5.4万のいいね!となったが、投稿当時ここまでウケると考えていた?
普段は林道で撮った看板の写真を投稿しても、一握りのフォロワーさんが反応してくれるくらいでした。今回もその程度だろうと思っていたので、ここまで反応があることは思いもしませんでした。
ーー“木に埋もれる看板”の投稿は今までで一番のバズだった?
過去に数百程度のリツイートはありましたが、今回のように万単位のリツイートやいいねがつくことは初めてのことでした。
5日間通知が鳴り止まず…不安に似た感覚もあった
ーー「あ、バズった!」と感じた日に、どんなことがあったか教えて?
いつもよりも通知が多いな、と思っているうちにあっという間にリツイートが百単位から千単位に増えて、そのままそこから5日間通知が鳴り止まなくなりました。
ーー大きくバズっている最中、どんなことを感じた?
いままで見たことのない早さで絶え間なく通知が届くのは、こんなこともう2度とないだろうなあと思うと楽しくもありましたが、投稿が自分の手の届かないところで一人歩きを始めたような感じもして、よく分からない不安のような感覚もどこかにあったような気がします。
ーーバズって個人的にうれしかったこと、困ったことは?
嬉しかったのは、自分が面白く感じたことが、たくさんの人にも驚いてもらえたり楽しんでもらえたことです。たくさんのリプもいただいたのですが、あまりの多さにその全てに返事をできなくなってしまったのは心苦しかったです。
ーーリプライなど、当時寄せられた声で特に印象に残っているものは?
リプの中には、同じようなものを見たことがあると写真付きで送ってくださる方もいて、そういうリプを見るのはとても興味深くて楽しかったです。
「以前より反応してくださる方は多くなった」
ーーバズった前と後とで、何か変化はあった?
あの投稿を機にフォローしてくださる方が増えて、以降、同じような投稿にも以前より反応してくださる方は多くなったと感じます。
ーー注目を浴びたことで、疎遠になった友人とまたつながるようなこともあった?
Twitterでは極力素性を明かさないように活動していますので(笑)、特にそのようなことはなかったです。
ーーバズ前後のフォロワーの増減については?
あの投稿がバズってからの短期間で、フォロワーさんはかなり増えました。
ーーその後の投稿内容はバズり前と変わらない? ハードルを自身の中であげてしまったようなことはない?
投稿内容は以前と全くと言っていいほど変わっていません。
ーー林道ツーリングの際も、周囲で気になるものなど以前と変わった?
林道ツーリングの内容も以前と変わりませんが、林道で見られる看板などには以前よりも注意を向けるようにはなったかも知れません。
「今後は年に一度くらいは再訪して…」
ーーところで、“木に埋もれる看板”なのですが、直近でまた見にいきましたか?
5月に見に行ってからはまだ再訪はしていません。
ーーでは、何年後にまた行きたいと思っている?
今後は年に一度くらいは再訪して、変化の度合いを記録するのも楽しいかもしれないと思っています。
ーー今回の看板のように、時間をあけてまた行ってみようと思っている場所は?
開設中の林道は、工事の進捗を確認したいという気持ちはありますが、そういったところは通行止めであることが多いので難しいです…。
ーー先の投稿の後、別のツイートなどでバズった経験はあった?
あれほどのバズりはありませんが、普段の投稿でも以前と比べて反応してくださる方が増えた実感はあります。
ーーまたバズってみたい…という思いはあったりする?
あれば楽しいな、という気持ちもありますが、そのためにあえて狙ってみようということはないと思います。
ーー最後に、今後初めてのバズりを迎える人にアドバイスを。
自分も降って湧いたようなバズだったので特にアドバイスと言えるようなこともありませんが、どんな些細なことでも自分が楽しいと思っていることを好きなように発信するのがいいと思います。
自分史上最高のバズりを体験し、5日間通知が鳴り止まなくなり、「よくわからない不安のような感覚もどこかにあった」というのも偽らざる気持ちだろう。
看板を設置した寄居町は特に対応はせずにそのままにするということなので、この看板がどうなっていくのか、ナノレカワさんの年に一度くらいの報告を楽しみに待ちたい。
画像提供:ナノレカワさん