6つの具体例を定義

「これをしたらパワハラになる」と、国が具体例を示したガイドラインが決定。

12月23日に開かれた、労働政策審議会雇用環境・均等分科会で決定したのは、職場でのパワハラ防止に向けた具体的な指針案。
パワハラにあたるとされるのは、大きく分けると6つ。

1つ目は、身体的な攻撃
相手を殴ったり、物を投げつけることなどがパワハラにあたるとされているが、その一方で、誤って体がぶつかることなどはパワハラにあたらないとされている。

身体的な攻撃(厚労省HP)

2つ目は、精神的な攻撃
同僚の前で大声で叱責(しっせき)することなどとされているが、遅刻など、社会的なルールを欠いた言動に対し、一定程度強く注意することは該当しないとされている。

精神的な攻撃(厚労省HP)

そして3つ目は、人間関係からの切り離し
気に入らない部下などを仕事から外し、長期間にわたり別室に隔離するなど、職場で孤立させることとされているが、育成などのため、短期間集中的に別室で研修をさせることなどは該当しないとされている。

人間関係からの切り離し(厚労省HP)

4つ目は、過大な要求
業務上、明らかに必要ないことや、できない業務を強制的にさせることとされているが、育成のために現状よりも少し高いレベルの業務を任せることなどは該当しないとされている。

過大な要求(厚労省HP)

5つ目は、過小な要求
能力や経験とかけ離れた程度の低い業務を命じることとされているが、相手の能力に応じて一定程度、業務の内容や量を軽減することは該当しないとされている。

過小な要求(厚労省HP)

そして6つ目は、個の侵害
私的なことに過度に立ち入ることなどがパワハラに該当するとされているが、相手への配慮を目的に、家族の状況をヒアリングすることなどは該当しないとされている。

個の侵害(厚労省HP)

大企業では2020年6月1日から義務化

今回の指針案は、このようにパワハラに該当する例とともに、該当しない例も具体的に示したことから、解釈によっては企業側がパワハラと疑われる行為を正当化する抜け道になるとの懸念が指摘されている。
大企業では2020年6月1日から義務化されるが、あらためて、その実効性が試されることになる。

パワハラになるとされる6つのケースについて、街の人に話を聞いた。

「個人を傷つけない」「やり遂げろ…とか言ってしまっているかも」

インテリア関係(20代)
私が一番言われて嫌だったことは、「それ前に教えたじゃん」とか「それ前にも言ったよね?」とかがとても強い言葉に感じたので先輩になったからにはそういった言葉には気をつけたい。

インテリア関係(20代)

製造業(50代)
自分が言われたらどう思うかということは言わない。ただ言ってしまうことはあるかもしれない。言い過ぎない、個人を傷つけないことに気をつけています。「嫌なことは口で言う」、「良いことはメールで流す」と上司に言われています。

製造業(50代)

物流関係(40代)
普通に「週末何しているの?」というつもりで聞いたことが、「そういったことに対してお答えしなきゃいけないんですか?」と言われたことがある。どう接して良いのかも非常に難しくなる。

物流関係(40代)

営業(30代)
成長してほしいから、ちょっと背伸びしないとできないような量や質を求めてしまうことはある。「やり遂げろ」とか「やればできる」とか、ポピュラーなことを言ってしまっているかも。
今後は、頑張ってとか励ましじゃなくて、懇願になるのかな。辛いですね。

営業(30代)

一つの最低ラインとして柔軟に対応を

津田塾大学 萱野 稔人教授:
何をしてはダメなのかを明確に示して欲しいという声はやはり強いですよね。
一方で、具体的に定義をしすぎると今度は定義が狭まって、そこから見過ごされる行為が出るのではないかという声もあって、国の策定でも議論は非常に紛糾しました。
ただ、具体例を国が出したことは一歩前進なのではと思います。
これを一つの最低ラインとして柔軟に対応していく、そこでの議論を深めるために活用することが望ましいと思います。

三田友梨佳キャスター:
パワハラをしている人間に、パワハラをしている自覚がないことが一番大きな問題のように個人的には感じています。
それぞれの組織内で相談窓口などをしっかり機能させることが、解決のためには重要だと思います。

(「Live News α」12月23日放送分)