「四川“山椒”アイス」

安倍首相、中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領が一堂に会し開かれた日中韓首脳会議。開催地の中国・四川省成都は「三国志」の時代には蜀の都として知られ、パンダや麻婆豆腐など激辛料理も有名だ。四川料理と言えばトウガラシの辛さに加え、花椒(ホアジァオ)を多く使った「麻辣(マーラー)」という舌がしびれるような辛みが特徴だ。花椒は中国原産のスパイスで、日本の山椒とよく似ているが、より香りや辛みが強いと言われる。

少し前、その成都で「麻辣味のアイスクリームが登場し人気」とのネットニュースが話題となった。その内容によると、アイスクリームの上に花椒の実がトッピングされており、「伝統的なアイスクリームの味をひっくり返した」と。気になる味を確かめるため、首脳会議取材の合間を見つけ、食べに行ってみた。

アイスに花椒の実をトッピング 中国のネットニュースより
店名からして「花椒(≒山椒)冰激凌(=アイスクリーム)」だった

情報を元に当該アイスクリーム店を見つけると、メニューには「四川花椒」のほか、「キングドリアン」「四川火鍋」など気になる味が並んでいる。まずは初志貫徹で「四川花椒アイス」を頼んでみた。ネットで見た写真では花椒の粒が載っていたが、出てきたものに期待の「粒」はない。「花椒は載ってないの?」と聞くと、「アイス自体に花椒の味がある」と店員さん。少し拍子抜けしながら一口。

花椒アイスを購入 花椒の粒のトッピングはなかった

「ん?…辛くない」味は普通の牛乳アイスクリームのようだった。正直期待外れ…と思った瞬間、舌がピリピリとしびれていることに気づいた。確かに後味は花椒のそれである。牛乳と花椒を混ぜ合わせて煮詰めてから、冷やしてアイスにするそうで、全体的に花椒風味が効いている。

「四川火鍋アイス」

後日、同じアイスクリーム店で、気になる「四川火鍋」味を試してみた。四川風の火鍋と言えば、真っ赤な激辛スープが特徴である。注文すると「これは少し辛いですよ」と店員さん 。

四川火鍋味 見た目は普通のアイス

やや赤黄色がかっているが、見た目は普通のアイスクリームである。期待して一口。「…辛い!」アイスクリーム全体にトウガラシの辛み成分が溶け込んでいるようだった。甘さと辛さが同居する味で、冷たいものを食べているのに、口の中が熱く感じる新感覚。冬に外でアイスを食べているのにジワリ汗が出てくるレベルである。辛いものが苦手な人であれば一口で限界かもしれない。連日の激辛料理で胃の調子が悪かった筆者も完食できなかった。お店の人ごめんなさい。

「一番人気なのは何味?」と聞くと、「やっぱり花椒アイスですね」と店員さん。店の看板商品だし、意外と食べやすかったのでリピーターが多いのかもしれない。

ラー油たっぷり「辣味アイス」を求め…

アイスの上からラー油をたっぷり 中国のネットニュースより
中国のネットニュースより

もう一軒気になる店を訪ねてみた。以前話題となったネットニュースによると、アイスクリームの上からたっぷりラー油をかける、その名も「辣味アイスクリーム」が人気だという。が、そこにあったのは日本の今川焼のお店だった。「以前ここで辣味アイス売ってませんでした?」「今はもう売ってないんです」。理由は教えてくれなかったが、だいぶ前になくなったようだった。残念。

「外の出店で売っているところがあると思いますけど…」

その言葉を信じてすぐ外の歩行者天国を覗いてみたが、辛いアイスを売っているお店は見当たらず。
普通のアイスを売っていたお店の人によると「辛いアイスは話題にはなるけど、やっぱりスイーツは甘い方がおいしいでしょう」とのこと。四川の人であっても、スイーツをわざわざ辛くして食べるのは定番ではないらしい 。

もしどうしても味が気になるという方がいれば、アイスに山椒や、トウガラシ粉、ラー油などをかけて食べてみれば近いものが味わえるのではないかと思う。ただし、味は保証しかねる。

【執筆:FNN北京支局長 高橋宏朋】