アシスタント・千代島瑞希:
アイさんからツイートいただきました。「横浜港で撮りました。モンフォード・ポイント級かな?」とのことですが、岡部さん、いかがですか?

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軍事評論家・岡部いさく氏:
これはまさしくモント・フォードポイントですよね。Mobile Landing Platform:MLP、機動揚陸プラットフォームとも呼ばれる。

洋上で「事前集積船」から車輛を受け取って、それをモント・フォードポイントが搭載しているエアクッション型揚陸艇:LCAC(エルキャック)に乗り移らせ、LCACが車輛を陸揚げする。いわば海に浮かぶ桟橋の役割をはたす船で、これが米軍の揚陸能力、陸上の兵力を送り込む時のキーになる船です。今年の4月にも横浜に姿を見せているんです。
タイミングとしては8月21日(月)から米韓演習が始まる時期…

能勢伸之解説委員:
どんなふうに使うのかという映像がありましたので紹介しましょう。
これが10年ほど前に岡部さんがグアム島で取材した「事前集積船」ですね。

岡部氏:
グアム・サイパン周辺にはアメリカの「事前集積船」の部隊が展開しているんです。そのうちの一隻がグアムにいたので取材させてもらいました。1ST LT JACK LUMMUS(ファースト・ルテナント・ジャック・ラマス)号です。甲板にはコンテナが積んであり、船内は何層にも分かれていて中にはおびただしい数の車輛がある、海上を移動する巨大倉庫。

能勢解説委員:
今、見えているのは海兵隊の水陸両用装甲車AAV7ですね。車輛と車輛の間隔が非常に狭く、動かないように1台1台が鎖で繋いであります。

岡部氏:
海が荒れた時に動くと危険ですからね。こういう装甲車輛や、M1A1戦車、ショベル・ローダーもありますね…このジャック・ラマス中尉号というのは海兵隊の部隊を支えるための車輛や物資…弾薬、食糧、燃料とかを積んであって、いざ必要な時になったら、モント・フォードポイント等を使って陸揚げします。兵士は飛行機や他の船で送り込むというやり方をする。
グアムにいるということは、例えば朝鮮半島、南シナ海周辺、場合によってはインド洋方面まで行って、こういう装備をすぐに運び込めるようにしているわけです。満載排水量が46,111t、全長が204mあって、搭載している装備、食糧、弾薬などはアメリカ海兵隊の1個旅団が20日間戦えるだけの物資をこの一隻で貯めこんでいるという海に浮かぶ巨大倉庫なんです。

そのほか陸軍装備を積み込んでいる事前集積船もいて、だいたい6隻くらいで浮かぶ倉庫群を構成、それにアイさんが撮影してくださったモント・フォードポイントが装備を迅速に陸に揚げるために行動をともにします。これがモント・フォードポイントが車輛を運搬するために「事前集積船」に横づけしたところです。

能勢解説委員:
そしてLCAC、つまり大型のホバークラフトがモントフォード・ポイントに装備してあって、そこに車輛を積んでLCACが車輛を積んで上陸する。モント・フォードポイントは船の中に水を入れて海面近くまで自らの船体を沈めたり傾けたりすることで、戦車等を積んだLCACが海上に出やすくします(一番上タイトル写真)。

岡部氏:
もちろん港が使える場合は「事前集積船」から直に車輛などを降ろせるけれども、例えば港が何かの攻撃で使えないとか、政治的理由で使わせてもらえない、あるいは港の陸揚げ能力が手一杯といった場合にモント・フォードポイントとLCACが手頃な海岸にどんどん車輛を運搬することができるということです。

能勢解説委員:
概要が理解できたとことで岡部さん、この8月の2日、3日に過去10年なかったことがあったということなんですね?

岡部氏:
そうなんです。今お話ししたグアム・サイパンにいる「事前集積船」船隊の6隻が、この10年で初めて一緒に行動して訓練を行った。部隊を組んで一緒に航行する訓練をやったほか、魚雷をよける訓練をやっている。

このアメリカ第7艦隊公式ホームページに紹介されている画像は、事前集積船が一斉に散開している様子で、まさに魚雷回避訓練の様子だと言えます。だからひょっとしてここの部隊が動くとなると、どこに部隊を送り込むための訓練?ということを考えたくなります…
大変な量の装甲車、戦車、物資を抱え込んでいる船が何と6隻もいて、いざ何かがあったらいつでも送り込めるということになっているんです。

能勢解説委員:
しかもこの6隻を含む部隊ですが、7月26日にモント・フォードポイントを使う訓練も実施していたといいます。

能勢解説委員:
はい、在韓米軍のところに、どっと物資や車輛を降ろすということも考えられる。そして場合によっては現在韓国内にいる米国人を引きあげるという話の時には大量に車輛が必要になりますよね?

岡部氏:
はい、アイさんが珍しい船が…とツイートしてくださった写真をきっかけに、日本の周りのことが見えてきました。

(執筆:能勢伸之)