アシスタント・千代島瑞希:
アメリカ海軍の最新鋭原子力空母「ジェラルド・R・フォード」の就役式が7月22日、バージニア州で開かれました。
アメリカ軍の新型空母の就役はおよそ40年ぶりで、2012年に「エンタープライズ」が退役して以降、10隻となっていた空母は11隻態勢に戻りました。軍備拡張を公約にするトランプ大統領は、今後空母を12隻まで増やすとしています。

軍事評論家・岡部いさく氏:
船の大きさという意味では今までのニミッツ級の空母、「ジョージ・ワシントン」とか「ロナルド・レーガン」と全体の長さや幅は変わらないんだけれども、アイランド:艦橋が小さくなって後ろの方になり、飛行甲板に配置もがらっと変わった。

原子炉が新型になって燃料交換が50年間必要ないとも言われているんです。つまりこの「ジェラルド・R・フォード」が就役してから退役までが、およそ50年と考えられていて実際に働いている期間に燃料を交換する必要がない! 原子力空母が燃料交換する場合ドック入りしてなんと、3年もの期間がかかり、さらにそのあと整備や訓練をやりなおすため1年必要と言われています。だから50年間ずっと動けるのは非常に大きい。

イラストを描いてきたので見てください。まず甲板の装備の様子から…

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前方に並んだ2機は搭載機のF/A-18D、その後ろにF-35C、大きなお皿で主翼をたたんでいるE-2D、今飛び立っているのは空母艦載無人機MQ-25Aスティングレイ、そして後ろから着艦体制に入ったのはCMV-22米海軍用輸送オスプレイで…垂直尾翼がVRC-30になっていることに気が付く人はいるかな?(笑)

能勢伸之解説委員:
はいはい、で、最も特徴的なのは「蒸気カタパルト」から「電磁カタパルト」への変更ということになりますね…

岡部氏:
はい、カタパルトというのは飛行機の射出装置です。空母は飛行機を短い距離で離陸させるために飛行機の推力に加え、勢いよく射出してやる必要がある…

まずは従来の「蒸気カタパルト」のイラストを見てください。

以前の「蒸気カタパルト」というのは甲板に下に長い筒があって、そこに蒸気を吹き込むわけです。高圧の蒸気がシリンダーを押し、シリンダーについているシャトルという部分が飛行機の前脚をひっかけて引っ張り、ドーンと機体を打ち出していく仕組みです。
映画「トップガン」とか観ると戦闘機が発進したあとに甲板に湯気が立つでしょ? あれはカタパルトで使われた蒸気なんですね。

それに対し、今度の最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」からは電磁式航空機発進システム:Electro-Magnetic Aircraft Launch System、「イーマルス」というのになる。こちらが図解です。

マルチタレント・小山ひかる:
一種のリニアモーター!…と同じで電気が通ればすぐに使えるということね。で、次の飛行機を比較的すぐに打ち出せると。

岡部氏:
そう!蒸気式だと飛行機を発信させたあとシャトルを戻して、蒸気エネルギーを貯めるまでにおよそ80秒かかるんだけど、この「イーマルス」だと45秒で次の発進ができるようになる。当然、電力も使うことになるので「ジェラルド・R・フォード」は今までのニミッツ級の3倍くらいの発電能力になっているとのこと。

さらに電磁式のメリットとしては加速の力を加減できる点があげられます。蒸気式だと最大限の力で一気に打ち出されるので機体への負担が大きいけれども、電磁式は電磁石の力を加減することで最初ゆるゆるっ行きながら、最後にぐんと加速して打ち出すことができる。
機体に加わるショックが軽減されることで機体も長持ちするというわけです。蒸気式を比較してスペースも少なくてすむ。

今度は飛行甲板の比較を俯瞰のイラストで見てみましょう。

上がニミッツ級、つまりいままでの空母の配置、そして下が「ジェラルド・R・フォード」。これまでエレベーターが4機あったのが3機になりました。

そして黄緑色の部分、アイランド:艦橋もこんなに小さく、後ろになりました。配置を変えて航空機を動きやすくすること、そして電磁カタパルトの採用で、これまでのニミッツ級だと1日に最大120機発進できたのに対して、「ジェラルド・R・フォード」は160機の発進が可能になる。飛行機の燃料と弾薬を甲板上の一か所で全部補給できるようにデザインしたことが発信能力の向上にさらに大きく貢献したそうです。

因みにメンテナンスの観点から見ても蒸気カタパルトだと蒸気のパイプを整備するのが大変だったけれど電磁カタパルトはすごく楽になった。

小山ひかる:
さっそくhetanahitoさんからのツイートが来ました。「エレベーターを減らした方が1日あたり発進できる機数が増えるというところが興味深い」って…

岡部氏:
そう!そこが興味深いんですよ。エレベーターがたくさんあった方が飛行機のやりくりが楽なんじゃないかと思うんだけれども、エレベーターがある分、使える飛行甲板上の場所が減ってしまうという問題があるんでしょうね。

(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)