今年2月、東京・江東区のマンションで、女性が襲われ死亡する事件が発生。
女性は「アポ電」を受けた後、事件に巻き込まれた。

急増する「アポ電」の手口とは

「アポ電」とは、電話で名前や住所、その人の資産状況などを確認するもので、犯罪グループはこうして事前に得た情報を利用し、犯行に及んでいるのだ。

こうした事態を受け、警察庁が初めて「アポ電」に関する調査を実施したところ、驚きの結果が表れた。

今年4月から6月までのわずか3か月間に、全国で3万5289件の「アポ電」があったことが確認されたのだ。

大都市圏に被害集中 それでも“氷山の一角”

特に大都市圏で多く、東京が9942件と最多。
次いで埼玉が3621件、大阪が3024件、千葉は2938件、神奈川は2413件。
この5都府県で全体のおよそ62%を占めた。

この“3万5289件”は、あくまでも警察が把握した数字。

不審な電話を届け出・通報しない人が多いことを考えると、“3万5289件”は氷山の一角と言える。

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「アポ電」から強盗致死事件に発展

また、「アポ電」を使った強盗事件は4月以降確認されていないものの、それ以前に全国で7件確認されていて、そのうちの1件が江東区での強盗致死事件だった。

自らの個人情報を明かすことは、犯罪グループに犯行計画を立てやすい環境を与えていることになり、知らない人物には決して情報を渡さないことが重要だ。

オレオレ、架空請求などの“特殊詐欺” 1日8000万円の被害

一方、1月から6月までの特殊詐欺全体の認知件数は8025件、被害額はおよそ146億円だった。

去年の同じ時期と比べると40億円近く減少したという結果に。
しかし1日当たりで換算すると、8000万円を超える被害が日々出ていることになる。

ここでも被害は大都市圏に集中。
全体のおよそ25%を占める東京が1946件、神奈川は1320件、大阪は783件、埼玉は768件、千葉は711件と、5都府県で認知件数全体の70%近くを占めているのが現状だ。

受け子や出し子などのメンバーを確保することや、無人のATMやコンビニが近くにあったほうが犯行を実行しやすいということから、大都市圏での被害が多いとみられている。

被害者の8割は65歳以上

また、被害者のおよそ82%は65歳以上。

高齢者の被害は、半年間で6600件にものぼっていて、高齢者対策こそ、特殊詐欺を無くすためには急務といえるだろう。

特殊詐欺では新たな手口も出てきている。

それが「キャッシュカードすり替え型」だ。

「印鑑を」席を立たせ、その隙にキャッシュカードを・・・

手口はこうだ。

犯罪グループが警察官や銀行関係者などを装い、「カードが悪用されています」などと被害者に電話をする。
その後、被害者の家にまで来て「封筒の中にキャッシュカードをしまって、数日間厳重に保管しておいてください」などと伝える。
その際、「割り印が必要」と言って被害者に席を立たせたその隙に、封筒の中のキャッシュカードを抜き取り、代わりにポイントカードなどを入れて置くというものだ。
封筒にはキャッシュカードと同じような形のものが入っているので被害者は気づきにくいという。

ATMでの引き出しは限度額などが設定されているため、犯罪グループにとって、事案の発覚が遅れれば遅れるほど好都合であるという。

こうした手口が出てきたのは去年のことで、1年間で1348件の被害が確認された。

しかし、今年は、先月までの半年間で、すでに去年1年間の被害件数を上回る1393件を確認、被害金額も20億円を超えている。

犯罪グループはあの手この手と手段を変えて近づいてくる。

被害を防ぐためには、家族や身近な人との連絡を密にし、不審に思った際は1人で判断せず、周囲に相談できる環境づくりをしていくことも必要だ。

(執筆:フジテレビ社会部警察庁担当 山下高志)