アシスタント・千代島瑞希

フィッツジェラルドは軍艦ですけれど、どうして民間のコンテナ船と衝突しただけでこんなに壊れてしまったのでしょうか…

軍事評論家・岡部いさく
コンテナ船「ACXクリスタル」は船首のところに傷があり、フィッツジェラルドは進行方向右前方艦橋部が壊れているのが確認できます。ところがこのACXクリスタルは水面下で見えない船首の下のところが前に突き出してるんですよ。引き上げたあとの画像を見てください。

この記事の画像(4枚)

これはバルバス・バウといって、この形だと波の抵抗が減って燃費が良くなりスピードも出せるという利点がある。ACXクリスタルの船首部分がフィッツジェラルドの艦橋を壊したと同時に、実はこのバルバス・バウ部分がフィッツの海面より下の部分につき刺さって3〜4m四方の穴を開けてしまった。

そのため2か所の居住区などに浸水し、そこには116人が寝泊まりしていたということなんです。衝突の原因については調査によって明らかになると思うのですが、「日本の弾道ミサイル防衛にとってどんな影響があるのか」という視点とは違った問題提起をここでしたいと思います。

 今の軍艦というのは敵の大砲の弾をはじき返して戦う船、かつての「戦艦」ではなくて、レーダーやミサイルで遠くの船や航空機、あるいは敵のミサイルと戦うことを想定しているので、今回、船体自体のもろさが露呈してしまった。

能勢伸之解説委員
岡部さんがおっしゃるように、今の軍艦は体当たりなんて考えていない…はずだったんですが…
毎週のように紹介している中国の「海警」の中に「海警2901」という船があるんです。

岡部氏
はい、いわゆる海上保安庁とか沿岸警備隊で使っている巡視船といわれるタイプの艦船の中では世界最大といわれています。

能勢解説委員
この船についての人民日報2015年7月29日の記事が大変興味深っかたのでご紹介します。

中国の新世代の12,000tの海上警備艦の本体の設計は軍事的基準に従っている。2万tを超える重量の船に体当たりできる。9,000t未満の船舶に体当たりしても、この船自体がダメージを受けることがない。さらに5,000tの船に体当たりすれば相手を破壊し海底に沈めることができる…と。

岡部氏

この船は最初から体当たりすることを言っています。ここで私が書いた大きさの比較をちょっと見てください。

一番上が今能勢さんから紹介があった「海警2901」。これに対して日本の巡視船で一番大きいのがだいたい5,300tくらい。人民日報で「体当たりで海底に沈めることができる」って言ってる大きさです。

その下が毎週スクランブルで出てくる「第十一管区海上保安本部」に配属されている船の「りゅうきゅう」は3,700tくらい…海上自衛隊のイージス艦「あたご型」でも排水量は7,750tくらいしかない。ガチンコのぶつかりがあったら、どうなるか…

能勢解説委員
この「体当たり」というのは、どうなんでしょう…戦争行為になるのでしょうか?

岡部氏
そこです。あからさまに真横を狙ってぶつかってきても、「ぶつけてきただろう、今度やったら大砲撃つぞ」というわけにはいかないか知れないですよ。事故だと…


(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)