能勢解説委員
北朝鮮は14日朝、新型弾道ミサイル「火星12型」を発射。ロフテッド軌道で高度2000㎞までに達することを見せつけました。しかも一段式なのに30分も飛翔し、バーニヤ(姿勢制御エンジン)を使う液体ロケットエンジン、最大射程は4,500㎞とも5,000㎞とも言われていると…森本さんからご覧になって、日本の防衛、安全保障の観点からはこのミサイルのどんな点が注目されるでしょうか?

森本 敏・元防衛大臣
2つあると思います。ひとつはかなり高い高度に飛翔したのでロフテッド軌道とは言いながら我々が迎撃をしにくいように、何かあって日本の領域、領土に入って来ることが予想される場合でも破壊措置命令を出して実際に破壊するというのがブーストフェーズ(上昇している時)に難しくするということを意図したんだと思いますが、それができた。

しかも2,100㎞の上空に達するというのは、ミサイルの全体のエネルギーを考えると射程が相当長いものを、ああいう形で打つ。
というので技術が相当進んでいるというのは、やはり驚きました。

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もうひとつは、どうもこれは今まで撃った弾道ミサイルとは少し型式(かたしき)が違うということです。

どこが違うかというと、弾頭部分の形が相当違う。これについてはいろいろ見方があると思うのですが、弾頭部分の形が違うのは、おそらくその弾頭に今後、核兵器を搭載するという場合に再突入する時のガードに必要な装置を内蔵して今回発射した。だから弾頭部分が少し大きな形になるですが、そういうことが考えられる。

なかなかまだ核兵器を載せる時に小型化できないので弾頭部分が大きくなってしまうということで、このミサイルを分析した時に一番注目すべきところは弾頭部分にあるということなんです。そこから先はまだ推定の域を脱しない。

能勢解説委員
これがひょっとしたら「核」を前提とした弾頭形状かもということですか…

森本・元防衛相
もちろん中距離以上ですから、これはVXとか普通の強化爆弾では意味がないので核兵器を積まなければ核の抑止の機能を発揮できないということで、将来は核兵器を載せるということを念頭に設計され、それをテストしている。
将来は核搭載を念頭に開発していることは間違いないと思います。

能勢解説委員
この「火星12型」はこのまま実用ミサイルになっていくのでしょうか。それとも弾頭部分の試験翔の試験機ということでしょうか?

森本・元防衛相
弾頭部分をテストするために撃ったということです。
ただ、わかっていないことがあって…実際落ちてくる時の再突入の時の衝撃にどれだけ耐えうるかということをどうやって検証するのかなということ…通常冷戦時代だと当時の米ソは戦略兵器を実験する時に、飛行する諸元というのを信号で送ってくるわけですね。それを受信しながら、どういう諸元で飛翔するかということがずっと最後までわかるようになっていた。海に激突する時には粉々になって跡形なくなるので回収はできないわでですから、従って途中の状態をどういう信号で発信しているかが北朝鮮のミサイルに関してこれがわからないです。

冷戦時代はその信号に暗号をかけていたんですね。だから他の国には受信できないようにしてあったんですが…今回はそういう感じではないんですけれども、例えば弾道ミサイルが諸元を送り続けていて、将来再突入する時の諸元を我々が探知できれば、どういう形で再投入した時の衝撃がミサイルに与えられたか、そこで爆発してしまったのがしなかったのかということがわかるのですが…

能勢解説委員
今回北朝鮮側はどのくらいの高度に達したかということを、ものすごくこまかい数字で出していましたが、そうするとあれはデータの送信、テレメトリーを出す機能を持たせていたということが考えれれるんですか?

森本・元防衛相
ええ、送信の施設をもっていなければ飛行している諸元は全然わからない。目で全部追いかけられるわけではありませんので、ミサイルに送信装置が付いていて、刻々と、飛んでいる諸元を発信していてそれを受信して分析するというシステムになっているわけです。

能勢解説委員
北朝鮮はノドンやスカッド、ムスダンなど日本を攻撃できるミサイルをいろいろ持っていますよね。そうした中で新たにこの「火星12型」を開発しているというのは、今おっしゃった核弾頭の試験というほかに何か意図はあったりするのでしょうか?

森本・元防衛相
これはミサイル全体のエネルギーを測定した時に最大射程がどこまで行くかということを計算できる。特にアメリカにはそれが測定できることを意図して撃ったんだと思いますね。射程がどんどん確実にのびていてアメリカの領土に近づきつつあることをアメリカに見せることが目的なので日本を念頭にしたものではないと思いますね。

能勢解説委員
そうするとロフテッド軌道で日本をということではなくて、アメリカ本土が目標だと…

森本・元防衛相
そうです。どこまでアメリカに近づいているかということを見せることによって「北朝鮮に手を出したら確実にアメリカに報復できるぞ」という能力を示すことによって抑止をする、体制を維持するということなのではないかと思いますね。



(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)