連日のようにうだる暑さが続く今日この頃。こう暑いと夏の風物詩「流しそうめん」で、涼を求める人も多いのではないだろうか?

そして暑いのはなにも人間だけではない。長野県の小諸市動物園では、ペンギンのエサを樋に流して食べさせる、恒例の“流しアジ”が始まったのだ。

ペンギンはフンボルトペンギンで、今年3月に生まれたヒナ1羽を含め、全8羽。ペンギンは“流しアジ”が始まると、しっかりと樋の横に並び、今か今かとアジが流れてくるのを待ち構える。

勢いよく流れてくるアジに狙いを定めるペンギン
勢いよく流れてくるアジに狙いを定めるペンギン
この記事の画像(4枚)

そこにアジが流れてくると、狙いを定めてパクリ。たまに失敗することがあっても、流しそうめんのようにうまく取ることができているようだ。

今年で5年目を迎え、イベントとしても人気のようだが、ペンギンも夏はやっぱり流してもらったほうが風情を感じる? そして、鈍臭くて食べられないペンギンはいないのか? 担当者に話を聞いた。

ペンギンの生態に理解を深めてもらおうと企画

――始めたきっかけは?

夏の企画として少しでもお客さんに涼みながら楽しんでもらいたいと、流しそうめんのようにエサを流す“流しアジ”を始めました。また、ペンギンは動くもの捕まえる習性があるので、そのような生態も理解していただけたらと考えました。


――今年で5年目ということだが、昨年と比べて改良点は?

今まで流す距離を伸ばしたり、来園者も見やすいように透明な樋に変えたりと様々な工夫を毎年行ってきました。今年は樋を置く台をスマートな形に改良し、ペンギン達がアジを走って追いかけやすいようにしました。

クチバシより大きなアジをパクリ
クチバシより大きなアジをパクリ

最後に陣取ってごっそり食べるペンギンも

――写真を見ると何だかペンギンも嬉しそう。本能が蘇っている?

はい、樋の横で待ち構えているだけでなく、流れるアジを追いかけて走ることもあります。運動不足の解消にもなって、喜んでいると思います。通常の餌やりでも生きた魚を与えていないのですが、アジが流れることで動くものに反応する習性を思い出しているのではないでしょうか。


――でも、鈍臭くて食べられないペンギンもいるのでは?

企画が5年目でもう慣れたので、大人のペンギンは皆が食べられるようになりました。さらに賢い子もいて、水やアジが最後に流れ着く水槽に陣取り、みんなが取り損ねたアジをごっそりパクパク食べる子がいますね。また、流れてくるアジを素早く取れる子もいます。

全く食べられない子はいなく、上手な子がたくさん食べている感じです。そしてたまに、他の子が捕まえたアジを横取りしようと追いかけて、小競り合いになることもあります。

3月に生まれたばかりのひなも参加

――今年デビューした“新人”ペンギンも参加する?

3月に生まれたひながいますが、まだ親が一度口に入れたエサを口移しで与えている状況です。大人のペンギンに連れられて出てきて、樋の近くをウロウロしていますね。ただ、本来でしたらアジをそのまま食べても良い時期になっていて、食べるまではいかないのですが、アジをクチバシで突っつくなど興味を示しています。

今年3月に生まれたひな(手前)
今年3月に生まれたひな(手前)

――これからが夏休みの本番。来場者にはどこを注目してほしい。

ペンギンさんたちにはそれぞれ性格が違っていて、走り回って他の子のエサを取ったり、とても賢い子がいたりと個性が豊かです。そんなペンギンの姿を、応援しながら見ていただきたいですね。

“流しアジ”は8月の土日に、1日1回お昼に行われる。アジを流せるのは飼育員だけだそうだが、今年はひなが初めてエサを取る瞬間が見られるかもかもしれない。一風変わった涼を求め、この夏に訪れてみるのもいいだろう。


(画像:小諸市動物園)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。