千代島瑞希(写真中央・新アシスタント)
#週刊安全保障のツイートで「能勢さん、さすがにしんどそうだったけど…」とつぶやかれていた件です。北朝鮮が5日弾道ミサイルを発射し、何を発射したのか、アメリカ軍の見立てが変わってきました。

岡部いさく氏(写真右)
能勢さんの最初の見立てではSLBMの北極星Ⅰ型か、あるいはその発展形で…場所が新浦ですもんね。新浦では前に潜水艦発射ミサイル(SLBM)の実験もやっている。アメリカ太平洋軍の見立てでKN-15=北極星Ⅱ型と発表したら途端に能勢さんもそう言わざるを得ないですもんね。
そしてさらにその後アメリカ国防省がスカッドERに修正したけど能勢さん、どうするのかな?

能勢解説委員(写真左)
厳しいご指摘ありがとうございます、はい。新浦はSLBMの発射だけではなく、潜水艦をめぐるそういった施設が集中している場所なんですよね。

岡部氏
ちょっと気になるのは9分間飛んで水平距離60㎞、到達高度180㎞あまりと、そこがひかっかっていたんですね。

千代島
9分で60㎞というのは大分遅いんですか?

能勢解説委員
そうですね。マッハ5とか10とかで飛んでいくのが弾道ミサイルですから。
韓国軍は「発射は6時42分ごろ、新浦一帯から日本海方向に方位角93°つまりほぼ真東、ほとんど垂直に発射された、韓国海軍のイージス艦と空軍弾道ミサイル早期警戒レーダー=スーパー・グリーンパインが捕捉し、最大高度189㎞、飛行距離およそ60㎞飛行した」と分析しています。

そして翌日6日、アメリカ国防省はスカッドERだったと修正しました。
さらに日本の防衛筋は9分とされていた飛行時間は実際は1分程度だったと修正したと。

千代島
もしスカッドERが正しいとすると、なぜ、アメリカ太平洋軍は、当初間違えたんですか?

岡部氏
うん、それで早期警戒情報というのはどういうふうになっているかというのをイラストにしました。

この記事の画像(3枚)

ミサイルが発射されると、発射の時に出るロケットの炎の赤外線をまず、人工衛星がとらえるわけです。これはSBIROS-GEO(スビロス・ジオ)という気象衛星と同じように地上3,600㎞の静止軌道上にいる衛星です。これが赤外線をキャッチして「ミサイルが発射された」という警報を送る。


もうひとつはSBIROS-HEO(シビロス・ヒオ)という、これは楕円軌道で地球を回っている衛星で、これでもミサイルの炎を捉える。
それと同時に左下にあるのが、今、能勢さんの話に出た韓国のKAMDスーパー・グリーンパインレーダーで、該当するミサイルが水平線や地平線の上に出ればレーダーで捕捉する。それから海上にいるイージス艦もSPY-1レーダーで捉える。

一方日本にも航空自衛隊のFPS-5というレーダー、それから日本の経ヶ岬にあるアメリカ陸軍のTPY-2というレーダーも弾道ミサイルを捉えて追跡することができて、これらがまとまって早期警戒情報となるわけです。
さらにどんなミサイルがどう飛んだかをどう突き止めるかといいますと、次のイラスト…

レーダーで追いかけるのに加え、アメリカ軍はこのハワード・O・ロレンゼンという船があってこの船尾についている「コブラ・キング」というレーダーで精密にミサイルの飛翔を追いかける。

そして弾道ミサイルが目標に向かって大気圏に突っ込んでくると大気との摩擦で熱が出ます。その時にミサイルがどんな落ち方をしているのか、どんな性能なのかを赤外線望遠鏡、赤外線カメラで捉えて分析するのがRC-135Sコブラボールという飛行機。このコブラボールっていうのはここに描いた通り、右の主翼だけ黒いんです。

…というふうにやっているのに…どこで間違えたんでしょう、能勢さん?

能勢解説委員
はい、確かにコブラボールは発射された5日未明にも監視のために離陸していました。この様に嘉手納基地から飛び立つ様子を久場悟氏が撮影した映像もありますね。なのでおそらく発射した時も見ていたんでしょう。ただ、今回は高度189㎞ということで、ひょっとすると低すぎた、飛翔時間も短すぎたということがあったかもしれません。

千代島
で、スカッドERで間違いないんですか?

岡部氏
河野統幕長は6日の会見で「弾種の特定、つまりどのミサイルを撃ったかの特定に向けて情報分析を続けている」と言っている。だからまだ、特定できてたというわけではないんですな。

能勢解説委員
そして稲田防衛大臣は今日7日の会見で発射された弾道ミサイルの種類について「スカッドERではない可能性もある?」と尋ねられて「様々な可能性を排除するわけではなく、予断を持って回答することではなく総合的専門的な分析を慎重に我が国としてもする必要があるということで詳細は分析中だ」と、つまりアメリカの発表をそのまま鵜呑みというわけではないですよというニュアンスを醸し出しているわけです。

(文責:松島 スタッフ:能勢・北原)