夏休みのこの時期、ドライブ旅行をする人も多いかと思う。
中には、宿代を浮かすために「道の駅」で車中泊を考えている人もいるかもしれない。
しかし、車中泊する車で駐車場が満杯となり休憩を目的とした利用者が駐車できなかったり、利用者のマナーが悪いことから、車中泊を禁止する道の駅も多い。

ちなみに、国土交通省は、道の駅で宿泊と仮眠について、ホームページで以下のように記している。

「『道の駅』は休憩施設であるため、駐車場など公共空間で宿泊目的の利用はご遠慮いただいています。
もちろん、『道の駅』は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間無料で利用できる休憩施設であるので、施設で仮眠していただくことはかまいません。」

簡単にいうと、宿泊はNGだが、仮眠はOKということだ。

そうした中、北海道東部の弟子屈町の道の駅「摩周温泉」では、車中泊の利用者に対して8月5日~19日まで一部の駐車場を有料化する試みを始めた。
有料化するのは、37台ある駐車場のうち3台分で、1台1500円で丸一日利用できるという。

今回、有料化された駐車場
今回、有料化された駐車場
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北海道の観光客マナー対策については、絶景の丘陵地帯が有名な美瑛町で、観光客が農地を踏み荒らすなどのマナー違反が増加し、「畑看板プロジェクト」という対策に乗り出したことも話題となった。
(関連記事:インスタ映え 美瑛の“農地”を荒らす観光被害解消へ…あえて 「立ち入り禁止」と書かない看板に共感

今回、有料化という対策に踏み切った理由は何なのか?そして開始以来どのくらいの人が利用しているのか?
道の駅「摩周温泉」の駐車場有料化の取り組みを行う釧路湿原・阿寒・摩周シーニックバイウェイ事務局に詳しく話を聞いてみた。

マナーの悪い利用者は、数カ月に及ぶ長期滞在

――5年前くらいから、利用者のマナーの悪さが問題となっていたそうだが、 具体的にはどんなマナーの悪さが見られた?

7~8月の観光シーズンは車中泊車両が増え、道の駅駐車場が満杯となり、休憩を目的とした一般利用者が駐車出来なかったり、一部の車中泊利用者のゴミの放置や長期(数ヶ月)滞在などが課題となっています。


――北海道内の他の道の駅でも、同様のマナーの悪さは聞く?

釧路湿原・阿寒・摩周シーニックバイウェイとしては調査はしていませんが、駐車スペースの少ない道の駅では特に車中泊のお客様との課題はあると思います。


――今回、車中泊の有料化に至った経緯は?

課題である利用マナーの向上を図るため、「車中泊可能な臨時駐車場や近隣キャンプ場への誘導看板」設置及び「有料予約専用スペース」の設置を行ったものです。

臨時駐車場への誘導看板
臨時駐車場への誘導看板
予約制有料スペース
予約制有料スペース

――37台の駐車場のうち3台のみを予約制有料スペースに。なぜ3台だけ?

本試行に適する独立したスペース(3台分)を確保し、また昼間の一般利用者に影響が少ない台数に設定しています。

有料駐車場では、電気の使用、ごみの引き取りも

――有料スペースでは、どんなことができる?

現在のところ数年前から車中泊の方からの不満やニーズの調査をしたところ、ゴミの処理に困っている方が多かった為、ゴミの引き取りと電気の使用などです。
今後は有料スペースでの電気自動車の充電施設も検討が必要かと思います。

――1日1500円という料金設定については?

有料予約専用スペースの提供サービスである電気利用料、ゴミ処分料及び運営経費等から料金設定を行っています。得られた収益の一部を、運営主体の「釧路湿原・阿寒・摩周シーニックバイウェイルート運営代表者会議」による道路清掃活動などに充当します。

――車中泊の有料化について、周りの利用者の反応は?

後日、利用者へアンケートをお願いする予定のため、現時点では不明です。

――5日から始まったが、有料化した駐車スペースの利用状況はどう?

8/5、8/6で利用台数は、計3台です。

今後、付加価値の付け方で有料化は広がる

――こうした有料化の動きは広がっていくと思う?

実際に利用者の意見を聞き、今後付加価値の付け方で可能性は大いにあると思います。

――今後、道の駅「摩周温泉」では有料スペースを増やす予定はありますか?

次年度以降の取組内容については、今回の試行結果を基に検討します。

――道の駅を利用する人たちに向けて、メッセージをお願いします!

夏休み期間中は車中泊などで昼夜問わず、駐車場が大変混み合うことが予想されます。
有料スペースを利用して安心してお越しください!

道の駅「摩周温泉」での有料化対策は、8月5日に始めたばかりのため効果はまだわからず、今後広がっていくのかも不透明ではあるが、すべての観光客が気持ちよく利用できるよう、今一度、道の駅でのマナーについて考えるきっかけにはして欲しい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。