能勢解説委員:いま、韓国のロッテグループが所有するゴルフ場が焦点になっています。韓国政府との交渉がまとまって、アメリカ軍のTHAAD迎撃システムを、この場所に年内に配備することが決まったとのことです。一方ロイター通信によると中国の国営メディアは韓国製品の不買運動を呼びかけているそうなんです。

ロシアはTHAADの韓国配備に反対することを1月の次官級協議で合意していたとも伝えられている。たとえばロシアが金正男氏殺害の容疑者をウラジオストックで取り押さえなかったということは韓国のTHAAD配備に対するロシアの不快感の表れということも考えられるのでしょうか?


小泉悠氏(写真右):これは切り離して考えた方がいいと思います。ロシア側の言い分としては、今回権限を持つ国からの要請が無かったので容疑者の身柄は取り押さえませんでしたと言っているんです。つまり、北朝鮮の人だから北朝鮮当局からの要請がないから何もしませんでしたよというのがロシア側の言い分なんですね。

だから、これは言外に「韓国からの要請はあったかもしれないが」という事実を思わせるような言い方です。だけど北朝鮮の人だから我々はタッチしなかったよ・・・ということは、おそらくロシアは北朝鮮の面子をたてているんだと思うんです。

一方THAAD問題については別でロシアがいろんなことを言うというのは、私は対中国に関する問題だと考えます。

朝鮮半島にTHAADがあってもロシアの核抑止力はまったく脅かせないので、本来ロシアにしてみれば「まあいいかな」という問題ですけれども、今話があったように中国はこの朝鮮半島THAADを嫌がっているわけで、ロシアとしてはミサイル防衛問題はじめ様々な問題で安全保障上、中国をは共同歩調をとってますよという立場ですから、中国がそんなに嫌がるんならロシアも一定の配慮をしますと。

去年、プーチン大統領が来日した時も、わざわざロシア側から「朝鮮半島THAADの問題を、日本に行って提起しましたよ」と言っているわけです。これは「ロシアは日本だけじゃなく中国の安全保障上の懸念も我々は忘れていませんよ」という意味だと。


小山ひかる(写真左):他の国から疑われたり牽制されたりして、いったい金正恩委員長は北朝鮮をどうしたんでしょうか?


岡部いさく氏:ミサイル作ってる、核開発してるっていうのは、とにかく抑止力を持ちたいというのが一番ですよね。

ちょっと気になるのは、ひと頃北朝鮮の大砲とかロケット弾が「ソウルを火の海にできるぞ」という状態だったじゃないですか。言ってみればソウルの街や人が北朝鮮の人質になっている状態。

それが今、ノドンとかムスダンとかが核弾頭を付けて日本にも到達可能となってくると、だんだん北朝鮮の「人質」が拡大してきていると。


小泉:はい、「火の海」にできるは日本とか、もしかしたら北朝鮮のミサイルはグアムくらいまでとどくかもしれない。

私が思うのは金正恩委員長は海外でも暮らしていたそうですし、北朝鮮の現状が良くないということはよくわかっていると思うんです。

でもソ連の場合のことを考えると・・・実は今日3月3日はソ連の最後の大統領ゴルバチョフさんの誕生日なんですが、彼の改革がうまくいかなかったのは中途半端だったからなんですよ。中途半端にいろんな自由を拡大して情報を自由化してみたらソ連の人たちが「この国おかしくないか」と言い出してソ連はガタガタ崩れていった。
その段階で、それを思いっきり押さえつけることはもうできなし、かといってソ連の体制をガラっと変えて改革するにはもう手遅れだったわけですね。

たぶん中国も北朝鮮もそういうのをよく見ていて、本当に国のアタマをすげ替えるような大改革をやるか、さもなくば独裁体制をガチガチに固めていくどちらかしかないんだという結論なのだと。

で、金正男氏は大改革派だったらしいですけれども、金正恩委員長はそれは無理だと考えた。だからこの独裁体制を何とでも維持する。そのためには核抑止力がいる。だからまわりから制裁されようが懸念を持たれようが、核とミサイルだけは絶対持つと、そこまでは逃げ切るつもりなんじゃないかと思うんです。



(文責:松島 スタッフ:能勢・中西・北原)