能勢解説委員:トランプ大統領は23日、ホワイトハウスでロイター通信のインタビューに応じました。その中で「新STARTが「一方的な協定だ。これまで、相手に許したことがなかったことを許した」と批判しました。

軍事評論家・岡部いさく氏:この表を見てください。新START条約とは・・・ということで

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STARTっていうのは「STrategic Arms Reduction Treaty」、つまり「戦略兵器削減条約」。前にやったのをさらに核兵器削減を進めようじゃないかということで「新」がついているんです。

小山ひかる:あ、じゃあSTARTって新しく始めようっていうスタートの意味じゃないんですね?

岡部:そう、うまく頭文字をつなげてスタートと読ませているんですな。アメリカとロシアの核軍縮条約で、2018年までに米露ともに戦略核弾頭を1,550発までに減らしてしまおう、と言っているわけです。
そしてその対象となっているのは、地上発射のICBM、潜水艦発射のSLBM、それから戦略爆撃機の機数も減らしましょう、配備した数と取っておく数を合わせて800までにしましょうという条約なんですが・・・

能勢:はい、トランプ大統領はこう言っています。ロシアが新型の地上発射型の巡航ミサイルを配備したことについて「私にとって、これは一大事であり、プーチン大統領に会えば、もし会えば、その時に私はそれを持ち出す。何故なら、我々の約束に対する違反だからだ」として、新型の巡航ミサイルが、射程500㎞から5,500㎞の地上発射巡航ミサイルの開発、生産、配備を禁止した1987年のINF=中距離核戦力全廃条約に違反するとの認識を示した上で批判、ロシアのプーチン大統領に問題を提起する姿勢を示したというわけです。またプーチン大統領との会談予定はまだないと答えています。

小山:え?それじゃあロシアは核兵器を減らしていないということなんですか?

岡部:まず、今おさらいしたSTARTについてはトランプ大統領は「考え直すつもりがあるぞ」と言っている。
そのSTART条約とは別のINF条約というのがあってね、「ロシアは地上発射の巡航ミサイルを新しく配備したでしょ?それは我々との約束を破ってるじゃないか」と言って激オコなわけですよ」

能勢:先週の段階ではニューヨーク・タイムズが「なんかロシアが怪しい巡航ミサイルを作ったみたいだ」という記事だったんですよ。今度は大統領は「あれはINF条約違反だ」とビシッと言ったと。話がヒートアップした。
岡部さん、まず新START条約をトランプ大統領が批判したのはなぜなんでしょうか?

岡部:まずひとつにはオバマ前大統領がやったことだからというのがあるでしょう。しかし考えてみると新START条約を結んだあと、ロシアは新型のICBMとかSLBMの開発は加速していますよね。それからいわゆる極超音速再突入弾頭?あれみたいなものをロシアがテストしちゃったわけじゃないですか。一方アメリカの方が計画はあるもののちっとも具体的な話が聞こえてこない。

能勢:アメリカの方は極超音速弾頭を核に使うとは言っていません。ロシアはそれを核に使うと言っているんですよね。

岡部:うん、ですから戦略核という側面ではロシアは技術的に先に行ってしまっている。これまでアメリカが技術的優位っていうのがひとつの自信の裏付けだったのに、それが揺らいでいるというのがトランプ大統領の認識だと思います。
そういった現状についてFASというシンクタンクが出した数字なんですが・・・

配備済みの核弾頭はロシアの方が多い。ただし戦闘機など戦場で使うような非戦略核弾頭ではアメリカのみ配備している。

ただロシアは技術的にはるかに進んだものの生産、配備が進むかもしれないということでトランプ大統領としては気が気じゃないのかもしれない。
(文責:松島 スタッフ:能勢・中西・北原)