ユーザーに応じて商品を最適化

コンビニが近くにない首都圏のオフィスやマンションなどで「ミニ無人コンビニ」の導入の動きが出ている。
事業を展開するのは「600株式会社」というスタートアップ企業。
「ミニ無人コンビニ」は、ジュースやお菓子などの商品を入れることができる冷蔵ショーケースで、クレジットカードをスキャンして扉を開け、ほしい商品を取り出すと、商品に付いた「RFID」タグが読み取られ、合計金額が自動的に計算される。

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あとは、確認ボタンを押せば、扉を開ける際にスキャンしたクレジットカードでの決済が完了する。「600」という会社の名前の通り、1ヶ月で最大600種類の商品を販売できるという点をウリにしていて、都内4カ所にある配送拠点からスタッフが週2回出向いて商品を補充する。

「600株式会社」代表取締役 久保渓氏
「600株式会社」代表取締役 久保渓氏

「ミニ無人コンビニ」が首都圏で正式にサービスを開始したのは2018年6月。当時の設置総数は11台だったが、その後、約1年で88台まで増加。
小型のショーケースを使ったビジネスではコカ・コーラ ボトラーズジャパンや、クックパッドなどもサービスを展開しているが、「600」は一般のコンビニで買えるものを広く扱い「品揃えのカスタマイズ」ができる点を打ち出し、差別化を図る。

「いつ」「何を」「どれくらい買ったか」についてのデータをAIで分析するなどして、ケース内の商品構成を最適化。
健康志向の企業には糖質オフ食材やサラダチキン、グリーンスムージーを陳列。
一方、日中外出する社員が多い企業では、外回りで汗をかいてもすぐに着替えられる肌着や文房具などの商品補充も可能だという。
また、利用者はSNS「Slack」などで商品をリクエストできる。
「疲れているのでシャキッと元気が出る商品がほしい」といった要求に対しても、スタッフが合いそうな商品を提案する。

“ランチタイム行列”のタイムロスの解消に

サービスの背景にあるのは「働き方改革」への関心の高まりだ。
ランチタイムに商品を買い求める行列に並び、休憩時間が減ることを改善したい、もっと手軽に商品を購入できる体験を作りたいとの思いから「ミニ無人コンビニ」は開発された。
働き方改革を推進し、従業員の生産性向上に力を入れる企業の間で導入が進んでいると、代表の久保渓氏は話す。

今後は、マンションやホテルなど、オフィス以外の空間にも力を入れる方針。
容量の大きなケースを開発し、これまでは入らなかった2リットルのペットボトルや、場所をとるクッキングペーパーなど、マンションの居住者にニーズがありそうな商品も取り扱う。また、電子マネー対応や地方都市進出も検討中で、2024年までに全国で1万台の設置を目指す。

働き方改革は企業にとって喫緊の課題。「ミニ無人コンビニ」の導入が、企業の生産性向上にどこまでつながっていくかが注目となる。

【執筆;フジテレビ 経済部デスク 西村昌樹】

西村昌樹
西村昌樹

フジテレビ報道局 FNNプロデュース部デスク 元経済部デスク