お盆休みが終わってもまだまだ暑い日が続くが、こんな時は涼しい部屋で昼寝を決め込みたいと思うことも多いだろう。
そんなことを考えるのは人間だけ…と思ってしまうが、あまりにも無防備で、初めて見た人はちょっとドキッとする寝姿の魚が8月14日に投稿され、話題となっている。
それが、こちら!
「何回もいうけど、ほんとそういう寝相やめて」
というコメントとともにアップされたのは、多くの魚たちを映した約20秒に及ぶ動画。他の魚たちが悠々と水槽内を泳ぎ回る中、一匹の大きな魚が身体を伸ばし切ったまま横たわっている。よく見ると時折口をぱくつかせているが、まったく身じろぎしないだけに、「死んでいる…」と言われたらうっかり信じてしまいそうだ。
これは「オオウナギ」という魚で、投稿したのは北海道北見市にある「北の大地の水族館(山の水族館)」。
日本最大の淡水魚といわれる1メートル級のイトウを約40匹飼育していて、また、厳寒時季-20℃ にもなる環境ならではの水面が凍る世界初の水槽など、北海道ならではの生き物や環境を見ることができる水族館だ。オオウナギはここで1匹のみ飼育されているという。
Twitterでは、「し、しんでる…」「これは、まさか!!とドキッとする寝相ですね」と、約2万5000件の「いいね!」を集め、その寝姿に驚きの声が上がった。(8月20日現在)
「何回も」という言葉から推測するに、一度や二度ではないようだが、なぜこのオオウナギはこんな寝方をするのか? そして、開館中にこの寝姿は見られるのか?
同水族館の飼育員で、公式Twitterアカウントの運用も担当者する中根 南さんに話を聞いてみた。
自然界ならまずない光景
ーーまず、「オオウナギ」はどんな魚?
世界の広範囲に生息しているウナギの仲間です。日本では四国、九州、沖縄などに生息しています。自然界では河川や湖の底で穴を掘ったり、石の下へ潜り込んだりして身をひそめており、 夜になると活発に動き出し、エサを食べる、というような生活をしています。
ーーオオウナギが死んでいるような寝方をするのはなぜ?
この水槽内では、オオウナギの外敵となる生物を飼育していないことと、オオウナギが完全に身を隠せる岩場などがないことが一因ではないかと考えています。いろいろ調べたのですが、普段のオオウナギは狭い場所や岩の物陰に隠れており、基本的にはあまり動かない魚のようです。
ーーオオウナギはみんなこういう寝方をする?
飼育環境が関係しているため、全ての個体がこのように寝るというわけでもないと思います。
ーーどのくらいの頻度で、オオウナギは寝る?
ほぼ毎日、えさの時間やブタバナガメというカメに追いかけられる場合以外の日中に寝ています。
ーー外敵から身を守るには無防備な気がするが?
「外敵がいない」「身を隠せる場所がない」、つまり警戒する必要がない、という条件がそろって今の状況になっていますが、自然界ならまずない光景だと思います。

開館中に見られる可能性は「あると思う」
ーーでは、オオウナギが寝やすい環境や条件などあったりする?
オオウナギにとって外敵がなく、身を隠す必要がない安心できる環境があれば、可能性が生まれるのではないかと思います。
ーーオオウナギはどのくらいの間、この姿勢を保っていられる?
申し訳ありませんが、どれだけの時間こうしているかまでは計測したことがないので分からないです。 今回の動画で観察していた時、5分以上はこの姿勢でした。
ーー寝ている時と、実際に死んでしまった時、どうすれば見分けられそう?
呼吸で動くエラと口の動きや、目が濁って白くなっていないかなどで見分けられます。
ーー開館中に見られる可能性はありそう?
今回の動画は開館直前に撮影したものですが、以前から開館中にも何度か今回のような寝相を披露しているため、見られる可能性はあると思います。
ーー周囲の他の魚の反応はどう?
他の魚には特に反応はしません。
時々、同じ水槽内にいるブタバナガメにかまれたり、追い立てられたりしています(食べられたりはしないです)。
ーー普段は Twitter のアカウント上でどのような投稿をしていますか?
水族館の基本情報・イベント告知のほか、水族館の生物の様子やスタッフの作業風景など、水族館の日常やその周辺の状況などを、リアルに自由にゆるく投稿しています。
ーー最後に、大きな反響を呼んだことへの感想を。
今回のツイートにこのような大きな反響があったことに大変驚いています。今後も生物たちと水族館のことに興味をもってもらえるよう 、 Twitterを通してゆるくお伝えしていけたらと思います。

ひっくり返って寝そべるオオウナギの姿にはドキッとするが、敵に襲われることがないという、自然とは異なる水族館特有の環境が大きく影響しているようだ。ほぼ毎日寝ているということなので、北海道を旅する際、見にいきたいものだ。
画像・動画提供:北の大地の水族館
