オオシバくん:
あおり運転殴打事件で、『宮崎文夫容疑者と同乗していた女』とのデマ情報を流された女性が記者会見を行ったね。

平松デスク:
そうだね。ネットでの名誉毀損モノでは、泣き寝入りになってしまうケースが多いと思うんだけど、この女性が、記者会見まで開いたのは、ネットのデマ情報に対する危機感があったからだよね。
その決断に敬意を表したいと思う。

「朝起きたら、犯罪者扱いをされていた」というのは、本当に怖い話だ。
提訴だけではなく、刑事告訴も検討しているようだけど、実は名誉毀損罪が成立するのはなかなか困難なんだ。

オオシバくん:
なぜ難しいの?

平松デスク:
今回のようなケースだと、デマ情報を流した人がどれぐらいの『悪意』を持っていたかを証明しなければならないんだけど、これが難しいのさ。
いかに、相手をおとしめよう、社会的評価を下げよう、名誉をないがしろにしようという認識を持っていたかを明らかにしなければならないんだ。

過去にも、ネット被害や中傷が事件になったことがある。
例えば、2017年東名高速であおり運転の末に、夫婦が死亡した事故。
あの時も、運転していた男についてデマの情報を流したとして、11人が名誉毀損容疑で書類送検された。
デマを流された人はかなり大きな被害を受けた訳だけど、結局11人全員が不起訴になったよね。
他にも書類送検された事件があるけど、おそらく不起訴になっているケースが多いはず。
検察としても、『悪意』の立証が困難な上、『軽い気持ち』での書き込みが多いので、刑罰を与えるのを躊躇せざるを得ないのだと思う。

オオシバくん:
それは、ちょっと甘すぎじゃないの?

平松デスク:
それは同感だね。
ネットでの中傷やデマでは、民事裁判にはなっても刑事事件にはならない、という印象が定着しちゃうと良くない。
だから、ちょっと極端な言い方をさせてもらうと、検察官は起訴して裁判までは持って行かないまでも、略式起訴してバンバン罰金刑にするべき。
『かるい気持ち』でも犯罪者になる、というメッセージを送る必要があると思うよ。

【解説:フジテレビ 社会部デスク 平松秀敏】
【イラスト:さいとうひさし】