3年前に亡くなった田畑ヨシさんは、30年以上にわたり津波の恐ろしさを紙芝居で伝え続けてきた。
この思いを次の世代に伝えようと孫の女性が、2月23日初めてこの紙芝居を披露した。
田畑ヨシさんの孫・池田三紗さん
「私にとっては重い仕事ですが、読んでみたいと思う」
読み聞かせをしたのは池田三紗さん。
祖母は紙芝居「つなみ」を作った田畑ヨシさん。
田畑ヨシさん(紙芝居読み聞かせ)
「山から降りてみると、みんな家はなく海だけが高く青く澄んで、残骸と嫌なにおいがしていた」
田畑ヨシさんは現在の宮古市田老出身で、1933年の昭和三陸大津波から命からがら逃れたが、母親を亡くした。
この経験を基にヨシさんを主人公「よっちゃん」として「つなみ」という紙芝居を30年以上披露してきた。
東日本大震災の津波を経験し、高齢になっても紙芝居を続けてきたが、2018年に93歳で亡くなった。
それ以来、娘の高橋恵美子さんが受け継ぐ形で紙芝居を披露していた。
「孫の三紗さんにも読んでほしい」という恵美子さんの希望を受け、知人の子供など10人ほどを招き実現した。
池田三紗さん(紙芝居読み聞かせ)
「お父さんが、津波だ逃げろと大きな声で叫びました。海の方からどんと大きな音がしました。よっちゃんは夢中になって玄関のぞうりをつかみ、はだしのまま走ったが、長い袖なしが足に絡まって、何回も何回も転びながら赤沼山に逃げました」
「心の中でよっちゃんは、海のばかやろうと何回も何回も叫びました」
参加した人はよっちゃんが必死に逃げたことや、母親を失った無念を自分のことのように聞き入っていた。
紙芝居を見たこどもは…
「泣きそうになる」
もともと、紙芝居は孫の三紗さんに向けて作ったもの。
時を超えてその孫が次の世代へと語り継いだ。
池田三紗さん
「あと10~20年くらいして、母が読めなくなってから自分に回ってくるのかなと正直思っていたので、びっくり」