「アメリカ第一の外交政策」では、IS(イスラム国)やほかのイスラム過激派を打ち負かすことを「優先」。国際的なパートナーとの協力も打ち出している。

また、1991年と比較して縮小したアメリカ海軍と空軍の強化は「疑問の余地ない」ことと主張。「わが軍事力を再強化する」として、サイバー戦能力も強調しているが、興味深いのは、名指しで「イランや北朝鮮のミサイル攻撃から防護するための最新のミサイル防衛システムを開発する」としていること。

トランプ政権が、北朝鮮のミサイルに対するアメリカ本土防衛のため、ミサイル防衛を強化しようというのなら、日本や日本におけるアメリカ軍の現状を重視することにつながるかもしれない。

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在日アメリカ軍が撤収すれば、アメリカ本土防衛は、強化されるどころか、毀損(きそん)される?

トランプ大統領は、選挙期間中、「同盟国は、駐留アメリカ軍経費をもっと負担しなければ、アメリカ軍の引き上げも」と主張していた。
日本に配備されているアメリカ軍の装備、例えば、青森県と京都府の「AN/TPY-2」レーダーや、横須賀を母港とする米イージス艦のレーダーは、日本のミサイル防衛に貢献するとともに、アメリカ本土のミサイル防衛システム(GMD)でも活用されるため、在日アメリカ軍が撤収すれば、アメリカ本土防衛は、強化されるどころか、毀損(きそん)されるかもしれない。

また、駐留経費の日本側負担増について、すでに、安倍首相は国会で、日米安保体制は、日米いずれかのみが利益を享受するという仕組みではなく、アメリカ軍の駐留経費についても、日米間で適切な分担が図られるべきものとの考えを示している。

トランプ大統領は、ビジネスで成功した人物。駆け引きはお手のものとみるべきだろう。
トランプ政権発足で、日本の負担増について、再燃しないとも限らないが、相手が要求してくるなら、こちらも要求すべきだ、という考え方もあるかもしれない。

では、何を要求すべきか。
駆け引きの準備として、日本に提供されていないアメリカの能力で、日本の防衛に役立ちそうなことをリストアップしておくべきかもしれない。

アメリカ軍の早期警戒衛星からの信号受信・解析装置「JTAGS」の生データ

どんな能力が考えられるのか。
インターネット番組「週刊安全保障」に出演した、軍事評論家の岡部 いさく氏や拓殖大学の川上高司教授は、要求検討リストの候補として、例えば、三沢基地に配備されているアメリカ軍の早期警戒衛星からの信号受信・解析装置「JTAGS」の生データを挙げる。

これは、弾道ミサイルの発する赤外線データをリアルタイムで解析して、捕捉から数秒後には、当該の弾道ミサイルの弾着ポイントと時刻を割り出すとされているが、それだけではなく、高高度を飛翔(ひしょう)するジェット機の赤外線も解析、飛翔経路を割り出すとも伝えられている。

味方の地上レーダーの覆域外の航空機も捕捉するなら、増える一方のスクランブルも、もっと効率化できるかもしれない。

ファイブアイズ(UKUSA協定)への加盟

そして、米英の通信傍受等による機密にアクセスできるファイブアイズ(UKUSA協定)への加盟等々。

もちろん、1つ1つは、必ずしも実現可能性を考慮した項目ではないが、リストを作るという作業自体が日米安保の再評価・再確認につながることかもしれない。