指定した場所の「津波に襲われる確率」と「被害の程度」を予測

北海道胆振東部地震の発生から9月6日で1年となったが、この地震では土砂災害を中心に被害が拡大し、現在でも道路などの復旧工事や住宅再建が進んでいない地域があるという。

そのような中、東京海上ホールディングスと防災科学技術研究所が、指定した場所の地震による「津波に襲われる確率」や「被害の程度」を予測するシステムを、共同で開発していることが分かった。

このシステムは、近い将来に発生が懸念されている「南海トラフ」や「相模トラフ」などの大地震に関して、防災科学技術研究所が進めている「全国津波ハザード評価手法」の成果を活用して、個別の地点ごとに津波の発生確率や浸水被害を予測してくれるもの。

なお、津波シミュレーションは計算量が膨大となるため、AIによるデータ分析を行う手法の開発も同時に進めている。

将来の災害において想定外の被害を無くすためには、多くの被害シナリオを設定し、対策の十分性を確認するなどの検討を進めていくことが重要だとしているが、このシステムによって予測した結果はどのようなかたちで通知されるのか?
また、実用化はいつ頃になるのか?東京海上ホールディングスの担当者に聞いた。

「この場所で津波により浸水する確率は、約1000年に一回です」

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――予測した結果はどのようなかたちで通知される?

具体的な提供方法や内容については、現在、検討中です。

方向性としては、「この場所で津波により浸水する確率は、約1000年に一回です」「この場所に2mの津波が到達する確率は、約500年に一回です」というような確率的な表現を検討しています。

確率を用いたリスクコミュニケーションは非常に難しいので、慎重に進めているところです。


――予測の対象となる地震は?

当面は南海トラフ、千島海溝、日本海溝、相模トラフを震源とする地震を対象とし、日本海側を震源とする地震も、今後、加えていく予定です。

実用化は2020年度中を予定

――実用化はいつ頃を予定していますか?

2020年度中を予定しています。

――実用化したら、このシステムは誰でも利用できる?

具体的なシステムの利用方法は検討中ですが、企業や個人などに広く提供することで、社会の災害レジリエンス(災害に対する強靭性)の強化に努めて参ります。


東京海上ホールディングスと防災科学技術研究所が共同で開発を進めている、指定した場所の「津波に襲われる確率」や「被害の程度」を予測するシステム。
現時点では「検討中」の部分が多かったが、個別の地点で予測できるということでより具体的にイメージできるので、実用化されて企業や個人などで活用できれば、もしもの時の備えになりそうだ。

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プライムオンライン編集部
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