TikTokが横浜市とコラボし「医療広報」に挑戦

「ニコニコ動画」「YouTube」など、動画投稿サービスは数多く存在するが、なんと言っても若者たちの間でアツいのがTikTok

TikTokは撮影した動画にBGMを組み合わせて15秒程度のオリジナルのムービーを作成、シェアできるアプリだ。

2人で振り付けを合わせる“双子ダンス”などの「〇〇ダンス」、リズムに合わせてポーズを決めたり、メイク技を紹介したりと様々なテーマに沿った投稿をする「〇〇チャレンジ」など、次々と流行の動画を発信しているTikTokだが、中でも、TikToker(ティックトッカー)と呼ばれる人気ユーザーがアップする動画は常に注目されている。

そんなTikTokが、新たに医療広報に乗り出すことがわかった。

この取り組みは、TikTokと横浜市医療局が連携協定を締結し、実現したもの。
TikTokと自治体との連携協定の締結は医療分野に限らず全国で初めてということで、注目されているのだ。

気になるコラボの内容だが、第一弾として予定されているのは「乳がん啓発」

動画は公益財団法人日本対がん協会が毎年10月に定めている「乳がん月間」に合わせて発表予定だというが、確かに、人気のTikTokerがこの企画に参加して魅力的な動画を投稿すれば、多くのユーザーが視聴・拡散を繰り返して啓発効果が上がる可能性は十分にあるだろう。

具体的にはどのようなことをするのだろうか? さっそく、その構想について、横浜市医療局にお話を伺った。

「“自分事”化」するTikTokの構造に共鳴し実現

――今回TikTokとのコラボに踏み切った理由は?

医療広報のプロジェクト「医療の視点」の趣旨に、TikTokを運営するByteDance株式会社に賛同いただき、連携協定を締結し、広報へ取り組むこととなりました。そのため、特段、アプリ等を限定しているわけではございません。

――「乳がん啓発」を第一回のテーマに選んだのはなぜ?

TikTokの特徴を踏まえ、若年層には、がんのこと、またがん検診の知識などを検診受診対象年齢前から知っていただくためのいわゆる「がん教育」の観点を重視しています。加えて、取り組みを通じて乳がん罹患者数が増加する親世代(40歳以上)への波及を特に期待しています。



これまでも横浜市医療局では民間企業等との連携によって医療広報を実施する「医療の視点」プロジェクトを進めてきたそうだが、今回お話を伺って見えてきたのは、特に同局がTikTokユーザーの「積極性」に注目した点だ。

TikTokは国内で約1000万人が利用しているというが、その9割近くのユーザーがコメントやシェアなどのアクションをするなど、コンテンツ参加への積極性が高いアプリとなっている。

一度“バズった”動画をすぐに他のユーザーがマネすることで、さらに大きなブームに発展していく傾向があるなど、投稿された動画に対してユーザーが共感し、「“自分事”化」してコンテンツに参加していくTikTokの構造と、「医療の視点」プロジェクトで推奨している「医療を『他人事』にせず、自分のことだと捉える姿勢」が重なって今回の締結に至ったという。

今回予定されているテーマの第一弾は「乳がん啓発」で、「医療の視点」の公式サイトを見てみると、乳がんの罹患者数がグッと増えているのは30代から。

コラボで狙っているのがTikTokユーザーの中心である10~20代からがんに関する知識をつけること、また、ユーザーの親世代であり乳がん罹患者数がさらに増える40代以上への波及効果ということだ。

確かに、子供世代に“バズ”れば、自然と親世代にもそれが伝わり、もしかしたら親子で気軽に乳がん検診の話を…という流れにもなるかもしれない。

「乳がんのセルフチェックの方法」をダンスで学べる動画を検討

横浜市医療局の思惑はわかったが、流行の入れ替わるスピードがはやく、興味のないものには見向きもしない若者たちに、どうやって「医療広報」というちょっとおカタいテーマの動画に興味を持ってもらうのだろうか。

作成予定の動画について、TikTokを運営するByteDance株式会社にもお話を伺った。


――今回、提携で目指すのはどのような取り組み?

横浜市の民間企業等との連携による手法で医療広報を実施する「医療の視点」プロジェクトにTikTokが賛同し、楽しみながら自然と医療の話題に接してもらい、興味・関心を持ってもらう試みとなります。


――どんな内容の動画を作っていく?


乳がんのセルフチェックの方法論をダンスにすることを検討しています。


――若者に興味を持ってもらうため、どのような工夫を考えている?

ユーザーのメディア消費はテキストから写真、写真から動画へと移行が急速に進んでいます。

中でもショート動画のプラットフォームであるTikTokは今の幅広い世代の情報取得・消費の傾向に合致するものであり、医療という一見難しい内容を若者の情報消費スタイルに合わせ、かつダンスや音楽を伴うなど、分かりやすく興味を持っていただける方法で目の前に届けることができると考えています。

「セルフチェック」の動作イメージ。ダンスの振り付けに活かされる?

「セルフチェック」はしこりを指で探し出すもので、乳がんの早期発見に有効といわれている。

動画の詳しい内容やコラボを予定している“有名TikToker”は近日発表する予定だということで、どんな動画になってどれだけ拡散していくのかこれからの展開が楽しみだ。

医療と若者をつなげる、新たな試み。
流行に敏感な若者の目を惹きつけ、医療動画が“バズる”日も遠くない?