駅前の交番で相談員刺され重傷

顔を隠すことなく前を見据え警察署を出て行く男。

男は2月12日、埼玉県志木市の交番を訪れ、対応した相談員の腕を刃渡り約16センチの文化包丁で数回刺し、殺人未遂の現行犯で逮捕された無職の加藤耕太郎容疑者(21)だ。

加藤耕太郎容疑者 埼玉・朝霞署 2月14日
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事件は2月12日の正午前、東武東上線の志木駅に向かう人や買い物をする人など多くの人が行き交う場所にある志木駅前東口交番内で起きた。

事件を目撃した人はその光景をこう語っている。

「突然、交番に向かって大量の警察官やパトカーが駆けつけていた。何か起きたのかと思って見ていたが、まさか交番内でそんな事件が起きていたとは思わなかった」

また、別の目撃者は
「交番内で男性が手から血を流しているのが見えた。犯人らしき若い男が警察官に押さえつけられていた。その後、複数の警察官によって交番からパトカーに乗せられていたが、抵抗するとか声を荒げることはなかった」と話した。

事件が起きた志木駅前東口交番 2月12日

刺された相談員の男性は埼玉県警のOBで通常、道案内や落とし物などの受付業務を担う市民の窓口となる存在だった。

男性は腕を包丁で刺され病院に搬送された。命に別状はなかったが傷は深く重傷だった。

このケガに関して、埼玉県警の幹部は「傷の深さを見ると、もし刺された場所が胴体だったら死んでもおかしくないものだった」と語った。

「警察官を殺そうと思った」

加藤容疑者は事件を起こした志木駅前の交番から徒歩10分程のマンションに住んでいた。

逮捕後の調べに対して「警察官を殺そうと思った」と供述し、容疑を認めている。

事件後、加藤容疑者が連行される様子を見た目撃者は、「連行された男から凶悪さは感じずむしろおとなしい雰囲気を感じた。」と話す。

それでは一体なぜ、加藤容疑者はこのような事件をおこしたのか。

その動機に関わる部分について、加藤容疑者の父親が取材に応じ、被害にあった相談員に謝罪の言葉を述べた上で次のように語った。

再就職で悩み…父親が語る犯行の動機

インタビューに答える加藤容疑者の父親 2月12日

--今回の事件についてどのようなことを思っている? 
(今回の事件は)急にうちの息子が襲ってきたという話なので、(被害者は)びっくりして怖かった、そして痛かったと思い大変申し訳なく思っております

事件直後で被害者の名前や入院先などの情報をもらえる状況ではないのですが、分かり次第、できるだけ早く、お詫びしたいと思っております。

--加藤容疑者と被害者に接点はない?
全くありません。

--交番員に恨みがあったというわけではない?
全然ないと思います。被害にあわれた方は本当に災難で、災難という言葉を使っていいのかわかりませんが、(息子と)何かあったからこうなったというわけでなないと思います。なぜ警察(相談員)を襲ったというのは分からないです。

--加藤容疑者は交番や警察に恨みがあったというわけではない?
恨みはないですね。これまでに警察ともめたとか補導されたというのは一切ないです。

--犯行には文化包丁が使用されているが、どこから持って来たのか?
うちから包丁を持って行っているのはわかっている。自宅から持って行っているというのは(間違いない)。

--事件当日の朝は息子と会っている?
食事で一緒に会っている。自分は午前中仕事の休みをとったので、妻と買い物に行ったのです。お昼ちょっと過ぎくらいに自宅に帰ってきて、息子がいなくて、「どこいったのだ?」と言っているときに警察から連絡を頂いて、事件を起こしたと。傷害事件だとか、殺人未遂だとか、包丁を持って交番に走ったと、それで朝霞警察署に捕まっていると。それで警察に行きましたが、息子には会えませんでした。

加藤耕太郎容疑者

--事件を起こしたことについて心当たりは?
息子は去年から会社勤めをやったが2カ月ほどで辞めてしまって、それで早く勤めなきゃいけないけども、なかなか勤められないとか、間が開いてしまうとダメ人間のレッテルを貼られてしまうとか、そういうプレッシャーを自分で作って色々悩んでしまうとかがあった。

最近はハローワークに行って仕事を探して、仕事に繋がるプログラムがある学校があるので、そこに願書を出して、そういう方向で少しずつ前に進み始めていた。その学校に願書を出して試験が3月の頭にあったのです。去年の2月に会社をやめて夏は自宅で養成していて、その頃に比べれば少し将来に向かって出てきている、会社を辞めた直後よりも、少しは前向きになれているのかなと雰囲気はあった。

会社を辞める前後に、息子と言い争いはたまにあったのですけど、「辞めたい」「続けろ」みたいな、その中で、「何か事件を起こせば捕まって刑務所に入ってこんな苦労をしなくてすむ」みたいなことを言っていたこともあります。
警察に対して恨みや仕返ししたいと言うことは全くないです。

--加藤容疑者は普段家にいることが多い?
部屋にいることが多かった。今日はいなかったので、「買い物に行っているのかな?だったら珍しいな」という感じでした。

--自宅から包丁が無くなっている以外に気がついたことは?
リュックがないというのと、普段はダウンを着ていたので、それを着ていたのかなと思います。

--事件の目撃者は加藤容疑者をおとなしそうに見えたと話していたが実際には?
見た方のイメージ、その通りです。こんな事件を起こすような勇気はない。人を攻撃するというようなことはないと思っていた。

インタビュー取材の中で父親は被害者に対して、「できるだけ早く謝罪をできる機会を作れればと思っています」と謝罪の言葉を繰り返し述べた。

加藤容疑者宅の家宅捜索 2月13日

警察は事件後、自宅の家宅捜索などを行い、犯行の動機や事件当時の状況を詳しく調べている。

執筆:社会部 河村忠徳