福島県の沿岸部は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた。
復旧・復興が進む中、福島・いわき市久之浜町には以前のにぎわいを取り戻すことを願って、そして再び起こる災害から一人でも多くの命を救おうと、それぞれの方法で取り組む人がいる。

津波に襲われ住宅1200戸被災 震災で街並み様変わり

福島・いわき市久之浜町にある「あかもの屋」。
昔ながらの駄菓子におもちゃ、そしてメダカも…子どもたちに長年愛されてきた店だ。

福島・いわき市久之浜町の駄菓子屋「あかもの屋」
福島・いわき市久之浜町の駄菓子屋「あかもの屋」
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あかもの屋・伊藤保幸さん:
この10年、慌ただしいというか色々な事がありましたからね。早く家が建ってくれるといいんですけどね。人も戻ってくれればいいんだけど、なかなかね

駄菓子屋「あかもの屋」店主の伊藤保幸さん
駄菓子屋「あかもの屋」店主の伊藤保幸さん

東日本大震災の津波で被災したが、伊藤保幸さんは仮設商店街で「あかもの屋」の営業を続けた。
そして4年前、かつて店があった場所の隣に再び店を構えた。

あかもの屋・伊藤保幸さん:
ここの道は無くて、ずっと街並みがあって、大きいお店があって

震災を境に、久之浜町の街並みは様変わりした。

震災当時、津波に襲われ、火災も発生。
46人が死亡し、12人が行方不明。住宅1,200戸余りが被災した。

息子の電話で間一髪生き延びて…津波の恐ろしさ伝え続ける

石川弘子さんは、被害を受けたこの地区が徐々に復興していく様子を写真に収め続けてきた。
震災の地震の後、川岸に来ていた石川さん。危うく津波にさらわれるところだった。

石川弘子さん:
息子から電話一本あって。その電話があったから、今があります

震災の地震直後の状況を振り返る石川弘子さん
震災の地震直後の状況を振り返る石川弘子さん

間一髪生き延びたことで湧き起こった、ある思いに突き動かされている。

石川弘子さん:
『おー来たぞ』という声が聞こえてたんです。後ろ向いたとき、津波が川を遡上(そじょう)してくる所です

いつかまた発生する災害に備えて、その恐ろしさを知っていてもらいたい。
被害を受ける人を一人でも減らすため、石川さんは語り部として活動している。

語り部として活動している石川弘子さん
語り部として活動している石川弘子さん

石川弘子さん:
自分はどうしたらいいんだろうということを考えていただきたい。自分の命を大事に考えていただきたいと思います

復興進むも道半ば 子どもの笑顔に支えられ

2019年9月26日には漁港でのセリが再開。
新たな堤防も整備された。
復興は徐々に進んでいるが、地区の人口は震災前の約75%にとどまる。

久之浜町の移り変わりを見続けてきた、石川さん。
かつてのにぎわいが戻ることを願っている。

石川弘子さん:
前以上に立派な橋、そして堤防もできました。ただ形はできても、人がまだ十分に戻ってきてないし、若い人がもっと戻ってきて、この街に住みついていただけるとうれしいなと思いますね

あかもの屋・伊藤保幸さんも、店を訪れる子どもを笑顔にして、そしてその笑顔に支えられ、これからも営業を続けていく。

あかもの屋・伊藤保幸さん:
子どもがみんな来てくれるっていうんで。簡単にはね、いくら商売がちょっと傾いても何しても辞める訳にはいかないんですよ。頑張って私が生きているうちはやっていきたいと思うんです

(福島テレビ)

福島テレビ
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