原発事故後も開催してきたが…伝統行事「ダルマ市」が初の中止

「無病息災、家内安全、身体堅固、せーの!わっしょい、わっしょい!」

無病息災、家内安全、身体堅固!
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2020年1月、江戸時代から続くとされる福島・双葉町の新春の伝統行事「ダルマ市」。
原発事故で全町避難となっても、毎年いわき市で開催されてきた。

双葉町ダルマ市 原発事故後はいわき市で
双葉町ダルマ市 原発事故後はいわき市で

しかし、新型コロナウイルスの影響で、「双葉町ダルマ市」は初の中止に。
双葉町民の福田一治さんは、原発事故の後、仲間とともにダルマ市を開催してきた。

ダルマ市を開催してきた福田一治さん:
やめることは簡単なんですね。継続するっていうのは難しい。でもそこを乗り越えて、やっぱりやらなくてはいけないのかな。誰かがやらなきゃ、そこで止まってしまう

2021年1月9日、いわき市で保管されていた巨大ダルマが、トラックで運ばれた。

トラックに積まれる巨大ダルマ
トラックに積まれる巨大ダルマ

ダルマ市を開催してきた福田一治さん:
今回はコロナのために、“一時帰宅”ですよね。双葉に巨大ダルマも一時帰宅してもいいのかなと思います

「ダルマだけでも買いたい」希望する声で開かれた販売会

約2時間かけて向かった先は、2020年、避難指示が解除された双葉町中野地区。

「ダルマだけでも買いたい」…。双葉町民だけでなく、原発事故後に「市」が開かれてきたいわき市の市民からも希望する声が寄せられたため、感染対策を徹底して、規模を縮小した「販売会」を開くことにした。

ダルマ市を開催してきた福田一治さん:
双葉町も少しずつ、ちょっとずつ変化しているのに。ここで確かにコロナっていうのもあるけど、私も苦渋の選択でしたね

双葉ダルマの販売会
双葉ダルマの販売会

ダルマを購入した町民:
今回、コロナでダルマ市が中止になって、ちょっと残念でしたが。伝承館もできて、交流センターもできた中で、ここでダルマ市みたいな感じでダルマが買えるっていうのは、やっぱりすごくうれしいですね

ダルマを購入した町民:
やっぱり大切なことだよね。つないでいかないと、どうにもならないので。やっぱりこうやって守っていかないといけないと思いますね

「金運」や「恋愛」などの願いが込められた7色のダルマ。
真っ先に売り切れたのは、「健康」を願う緑色のダルマだった。

7色のダルマ 「金運」「恋愛」「健康」などの願い込め
7色のダルマ 「金運」「恋愛」「健康」などの願い込め

ダルマを購入した町民:
いまコロナなので、健康成就のために緑色のダルマを買いに来ました

伝統をつないできた10年 ダルマ市は復興・未来を描く一歩

販売したダルマの数も訪れた人も、「ダルマ市」と比べれば大幅に少なくなった。
それでも…

ダルマを販売する石田恵美さん:
本当うれしいですね、みんなの顔が見られて。コロナが早く収まって、早く皆さん、お客さんに来てもらって、みんなの笑顔が見れるといいですね

ダルマがつなぐ、人と人とのつながり…

ダルマ市を開催してきた福田一治さん:
この伝統を継承していくっていうのは、この10年間いろいろ本気で携わってきて、双葉にとってダルマはシンボルみたいなものだと思います

全町避難が続いても、ふるさとの伝統を必死につないできたこの10年。
2022年の居住開始に向けて、生まれ変わろうとしている町の姿を見据えている。

続けてきたのは「未来」のため
続けてきたのは「未来」のため

ダルマ市を開催してきた福田一治さん:
新しい“まちづくり”っていうのも、全て新しいのではなくて、昔からやっている伝統、私たちも受け継いだものを続けながら、そして新しいまちづくり。一歩一歩わかるように復興につなげていく。それがわれわれの役目であるのかなと思います。来年はどうかな?コロナ収まっていれば良いんだけどね。そのためのきょうなので。来年のための“きょう”でもあるし、やっぱり一歩一歩進まなくちゃいけないからね

町のシンボルを未来へつなげる。
その未来には、ふるさとの復興とダルマ市の町内での開催を思い描いている。

2022年は双葉町で
2022年は双葉町で

(福島テレビ)

福島テレビ
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