福岡・太宰府市で起きた主婦暴行死事件。
被告が訪れていたホストクラブの従業員らが検察側の証人として出廷し、「被告が被害者の手に割り箸を突き刺した」などと証言した。
「手に割り箸を突き刺した」ホストが証言
2月2日に始まった、被害者に対する傷害致死事件などの裁判員裁判。
起訴状などによると、山本美幸被告(42)と岸颯被告(25)は2019年10月、当時36歳の主婦・高畑瑠美さんを福岡・太宰府市の自宅に監禁し、太ももをナイフや割り箸で突き刺したほか、木刀などで暴行を加えて死亡させた罪などに問われている。

2月4日の法廷には、山本被告が瑠美さんを連れて連日訪れていたホストクラブの従業員らが検察側の証人として出廷。山本被告が瑠美さんに行った“仕打ち”を証言した。

ホストA:
瑠美さんは毎日、食パン1袋とカップ焼きそばの大盛りを食べさせられ、水を飲むことも許されなかった。暴行が行われた日は、水の代わりに度数の高い酒をストレートで飲まされ、瑠美さんがたまらず氷を口に入れたら山本被告が怒った
ホストB:
マイクや拳で顔を殴り、ソファに立っておなかを蹴り上げた

それでも怒りが収まらなかったという山本被告。ホストにも残虐な暴行の手伝いをさせたという。
ホストB:
山本被告から「瑠美が手を握りたいんじゃない? 手首をちょっと握っとってくれん? 手首を握ってテーブルの上に置いて」と言われた
検察官:
その後、どうなりました?
ホストB:
目の前にあった割り箸を山本さんが取って、瑠美さんの手の甲を突き刺しました

びっくりして手を引いたホストに対して、山本被告は、「ちゃんと握っとって」と命令。その後、割り箸をライターで炙(あぶ)り、手の甲にもう1度突き刺したほか、ライターの点火口を押し当てたという。
ホストB:
瑠美さんは「熱い」と言っていたが、手を引いたり、抵抗はしなかった
ホストたちも、山本被告の背後に暴力団の幹部がいると思い、暴行を止めることはできなかったと話した。

ホストクラブに入り浸るようになったきっかけ
なぜ普通の主婦が、ホストクラブに毎日のように入り浸るようになったのか。瑠美さんの夫は、そのきっかけについて法廷で語った。
被害者の夫:
(山本被告は)アニキが経営するホストクラブの店内調査に連れて行くと言っていた
“アニキ”とは、死体遺棄などの共犯として罪に問われた元暴力団員・田中政樹被告(47)だ。

山本被告は、田中被告の名前を出して瑠美さんを断れないように仕向けると、事件の半年前から連日、ホストクラブへ連れ出した。
しかし、田中被告が経営するホストクラブは、実際には存在せず、これは借金地獄に陥れるためのワナだったとみられる。
逃げることを提案も「怖くて逃げられない」
“覆面調査”だったはずが、飲み代を山本被告への借金にされた瑠美さん。借金がかさむにつれて絶対服従を強いられ、見た目も異常な変化を遂げていったという。
ホストB:
まぶたに口紅を塗るなど、あり得ないメイクだった。白の花柄のワンピースを毎日着ていて、鼻につくようなすごい臭いだった

ホストA:
腕や顔にアザが増えていった。他のお客さんからも「あの子大丈夫?」と言われるようになった
身体的、精神的に絶えず攻撃を続け、瑠美さんを完全に支配下に置いたとみられる被告たち。その様子を見かねた別の従業員が、山本被告に聞こえないよう、逃げることを提案すると、瑠美さんは、泣きながらこう言ったという。
ホストC:
「怖くて逃げられない」、「このまま死んでしまうかも」と泣きながら話し、「子どもに会いたい」と言っていた

(テレビ西日本)