岩場に溶け込んでいるのは何?
ジャイアントパンダをはじめ、約360種、3000点の動物を飼育している上野動物園。東京の都心部にありながら、さまざまな動物を見ることができる日本を代表する動物園だ。
そんな上野動物園の公式Twitterが投稿した写真が話題になっている。
それがこちら。
岩場に少し草が生えた一枚の画像と共に「なにかがいるよ。溶け込んでいるよ。」と投稿。この写真の中に何かが溶け込んでいるという。
写真を一見しただけでは、どこに何が潜んでいるか分からない。
なかなかの難問である。
そして、この投稿から約10分後、上野動物園は正解を発表した。
正解はニホンカモシカであった。
灰色の毛のニホンカモシカは、写真の左上の岩場に完全に溶け込んでいた。
正解が発表されると、「岩肌に同化していたとは、回答を見るまで全然分からなかった」や「さっぱり分からない」などこの問題の難しさを語るコメントが寄せられた。
このニホンカモシカは「ナギ」という名前で、2011年2月に来園した10歳のオスだ。上野動物園のニホンカモシカは現在この「ナギ」の1頭だけだという。
これまでにも上野動物園では、動物にまつわる難問を公式Twitterから投稿し話題になっていた。
(参考記事:上野動物園からの超難問 「これな~んだ?」 謎の物体に「餃子」「ナマコ」!?…正解聞いても奥深い)
今回は、なぜこのような問題を出そうと思ったのか。上野動物園に聞いてみた。
気づいてもらえず存在を知ってほしく…
ーーなぜクイズにしようと思い、どのように撮影した?
最近この場所によくいますが、来園者にはなかなか気付いてもらえません。その存在を皆さんに知っていただきたくて、構図にこだわって撮影しました。
ーー普段から写真の位置にいる?
下にいるよりも岩棚にいることが多いです。あの場所以外にもいることもあります。
ーーニホンカモシカの性格や特徴は?
単独か、つがいで標高1500〜2000mの山岳地帯に暮らしています。岩やがけを登るのに都合の良いひづめを持ち、見晴らしの良い崖の上で休みます。目の下ににおいをつける腺(せん)があり、周囲のものにこすりつけてにおいをつけます。このにおいがなわばりのしるしとなり、自分がいることを仲間に知らせます。国の特別天然記念物です。
また、エゾシカとの違いはエゾシカは偶蹄目シカ科の動物なので、生物学上の分類が大きく異なります。エゾシカは毎年、年に1回角が生え変わりますが、カモシカは生え変わりません。角の形や体の大きさ、鳴き声など、様々な違いがあります。当園では同じエリアに両種を飼育していますので、ぜひ比べてみてください。
見つけやすくする対策の予定は?
ーー獲物に狙われにくくするため、意識的に岩場と同化している?
意識して岩場と同化しているかは不明ですが、カモシカをはじめとする草食動物は天敵から襲われるのを避けるため、動かずにじっとしていることが多いです。
ーー岩の色とニホンカモシカの毛の色が同じなので来園客は見つけづらいと思うが、何か対策をする予定は?
本来住んでいる山岳地の環境を見て欲しいので、今のところ予定していません。
Twitterでクイズを出したのは、岩場と同化して来園者にも気付いてもらえなかったためという何とも悲しい理由からであった。
ニホンカモシカの展示場に立ち寄った際には、一見いないと思っても、あきらめずに探してみてほしい。きっとどこかにいるはずだ。