特に多くの種類の細菌がいる場所は「野菜室」

家の中で細菌が多くて注意が必要な場所といえば、「トイレ」が真っ先に思い浮かぶのではないだろうか。だがこの度、これまでにノーマークだった“意外な場所”がトイレ並みに要注意であることが分かった。

それは、冷蔵庫の「野菜室」。

花王が10月3日に公表した、家の中における“細菌の実態調査”によって明らかになったのだ。

調査は2018年8~10月、首都圏と関西圏の計90世帯を調査員が訪問し、調理台やキッチンの蛇口、シンクの排水口、冷蔵庫、パソコンのキーボード、スマートフォンなど、最大24カ所から細菌を採取し、解析をしていた。

細菌の種類の数を調べると、冷蔵庫の「野菜室」や「キッチンのスポンジ」に、特に多くの種類の細菌がいる結果が出た。種類で言えば、トイレの床より多いことになる。

菌叢の種多様性の比較(画像:花王)
菌叢の種多様性の比較(画像:花王)
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また、細菌の数を調べると、ほとんどの家庭で、「キッチンのスポンジ」や「シンクの排水口」、「蛇口の付け根」などで多いことも判明。

さらに、「ダイニングテーブル」の細菌の数が、「トイレ床」と同程度だったことも分かっている。

家庭内の菌数の分布(画像:花王)
家庭内の菌数の分布(画像:花王)

さらに、病原菌を多く含む腸内細菌科の家庭内分布も調査。その結果、冷蔵庫野菜室とシンク排水口で、腸内細菌科の存在比率が高いことがわかった。

腸内細菌科の存在比率と家庭内分布(画像:花王)
腸内細菌科の存在比率と家庭内分布(画像:花王)

「野菜室」が“細菌まみれ”だというイメージはあまりないのだが、多くの種類の細菌がいるというのは一体なぜなのか? 花王の広報担当者に理由を聞いた。

理由は「野菜に付いた土に多様な細菌がいるため」

――細菌の種類が多いのは「野菜室」。この原因として考えられることは?

正確なところは解明できていません。

ただし、土壌には家庭内と比べて圧倒的に多様な細菌がいます。したがって、野菜と共に土壌が野菜室に持ち込まれた結果、細菌の種類が多くなった可能性が考えられます。

――「野菜室」は、どのような手入れをどのような頻度で行えばよい?

汚れが気になるときは、「キッチンそうじシート」で拭き取る。

細菌が気になるときは、「すまいの除菌スプレーや除菌シート」を直接スプレーして、ティッシュペーパーやきれいな布などでふきとるか、「すまいの除菌シート」で拭いてください。

効果的に除菌するためには、拭き残しのないように、まんべんなく拭くのがポイントです。

頻度については、汚染度が各家庭で様々であるために、1つの目安を申し上げるのは非常に難しい状況です。日々、蓄積しないようにこまめに除菌・掃除頂くことがポイントではないかと考えます。

「ダイニングテーブル」の細菌数がトイレ並みに多い理由

――ほとんどの家庭では「キッチンのスポンジ」、「シンクの排水口」「蛇口の付け根」で細菌が多い。この理由として考えられることは?

細菌が増えるには、少なくとも水分と栄養が必要です。

これらの場所は全て湿っていて水分が多く、さらに菌の栄養になりそうな汚れも多いことが考えられますので、菌が多くなったと思われます。


―「ダイニングテーブル」の細菌の数が「トイレの床」と同程度。この理由として考えられることは?

細菌が増えるには少なくとも水分と栄養が必要ですが、トイレの床が日常的に湿っているご家庭はあまりないと思われます。

むしろ、ダイニングで水を使用する場面の方が多く、日常的に湿っており、細菌が増えるのに適した環境になっている結果、トイレの床と同じ程度になった可能性があると思われます。

冷蔵庫の野菜室が、病原菌を多く含む腸内細菌科の比率が高い理由についても、野菜に付着した土等に由来する可能性が考えられるとのことだった。
せっかく新鮮な野菜を入れても野菜室の細菌が広がってしまわないように、日頃から気にかけてこまめに除菌・掃除することが良いようだ。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。