猛烈な勢いで日本列島に迫る台風19号。その勢力は11日午後3時現在、中心気圧925ヘクトパスカル、最大瞬間風速70m/sと強く、12日夜には関東方面に接近・上陸の恐れがある。

JR東日本が12日から13日にかけての計画運休を発表するなど、各機関が対策を進めている中、Twitterでも個人が各々に防災対策を投稿している。

編集部では「窓に養生テープを貼る」試みを紹介しているが、もうひとつ取り上げたいことがある。
(参考記事:「窓ガラスに養生テープ」の台風対策は効果ある? 正しい方法をYKK APに聞いた

それは、換気扇をふさいで雨風の部屋への流入を防ぐというもの。Twitterでは実際にテープなどでふさぐユーザーも見られた。



たしかに風の強い日は、換気扇からの空気を感じられるし、ほこりが室内に入ってくることもある。今回は“過去最強クラス”の台風であることから、さらにひどくなる可能性も想定される。

でも実際、この対策は効果があるのだろうか。ふさぐとしても、気を付けなければならないことがあったりするのだろうか。換気設備の製造メーカーである、富士工業にいろいろ伺ってみた。

雨風を防ぐ効果はあるが注意点もあり!

――換気扇をテープなどでふさぐのは、台風対策としてどう?

SNSで話題となっているのは恐らく、ファンに数枚の羽根がある換気扇だと思われます。「プロペラファン」と呼ばれるこの形式であれば、テープなどを貼ると外壁と室内の空気の通り道を直接ふさぐので、ほこりや雨風の飛来を防ぐ効果はあると思います。

プロペラファンのイメージ
シャッター(左)(右)シロッコファン

――効果がない換気装置もあるの?

製造メーカーによりますが、キッチンにあるレンジフードの場合はそもそも、テープなどでふさぐ必要がないと思われます。レンジフードにはもともと外気の流入を防ぐ「シャッター」という装置が組み込まれていて、普段から空気の通り道をふさいでいるためです。

このシャッターは換気スイッチを入れると開きますが、内部には外風が入りにくい「シロッコファン」を採用しています。雨風に悩まされることはないはずです。


換気扇をふさぐことで雨風を防ぐ効果はあるが、中にはふさぐ必要がないものもあるようだ。そして担当者によると、換気扇をふさぐ際は注意しなければ、思わぬ危険を招く可能性もあるという。

換気扇をふさぐことで一酸化炭素中毒や火災の可能性も

――換気扇をふさぐ場合、注意点などはある?

室内全ての換気扇をふさぐことはおすすめしません。今は隙間がない「高気密住宅」が増えています。冷暖房の効きやすさや防音性などの利点はありますが、隙間がないゆえに空気がこもりやすいです。意識的に換気しなければ、一酸化炭素中毒になったり、洗剤などに含まれる化学物資やガスが充満することも考えられます。

何より避けてほしいのが、火を使った料理です。

一酸化炭素中毒になりかねませんし、ビニール製のテープや袋でふさいでいた場合、引火して火事になる可能性もあります。

――それでは、どんなことに気を付ければ良い?

部屋全体の換気を確保することが大切です。全ての換気扇をふさぐと空気がこもるので、ふさぐならテープに少し隙間を空けるなどして、空気の通り道を作るべきでしょう。

換気扇が室内と室外にまたがっている場合は、外の換気扇をふさぐ方が効果的です。シャッターは強風を受けると「パタパタ」と音がなりますが、この音も抑えられます。

戸建ては外側、集合住宅は内側からふさいでほしい

――戸建てと集合住宅で、換気扇をふさぐ効果に違いはある?

基本的に変わりはないと思われます。ただ、集合住宅の場合は何かあったときに近隣に影響を与える可能性が高いです。ビニールなどで換気扇をふさいだ場合、火を使った調理は絶対にやめてください。

さらに、高層に住んでいる場合は換気扇の外側も高い場所にあります。高所での作業は危険性がありますし、ふさいだ物体が剥がれて落下する可能性もあるので、換気扇の内側をふさぐことを考えるべきでしょう。ふさぐなら戸建ては外側、集合住宅は内側をと考えるべきかもしれません。


――このほか、台風が来る前にできることはある?

フィルターなどがある場合は、ほこりが部屋に入らないように掃除しておいても良いでしょう。

風が強くなる前に換気扇を掃除しておいては?(画像はイメージ)

換気扇をふさぐことは雨風の対策に一定の効果はあるが、方法を間違えると一酸化炭素中毒や火事の危険性もあるとのことだ。

台風対策で思わぬ被害を招かぬよう、換気扇をふさぐ際には空気の通り道を確保して、火を使わないことを心がけてほしい。

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