「私が亡くなった後、この子はどうなるんだろう?」

障がいのある子を持つ親の多くがこういった不安を抱えている。

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そこで、自身も重度知的障がいがある息子を持つNPO法人Alon Alonの理事長である那部智史さんは、知的障がい者が胡蝶蘭を育てながら社会に出る準備ができる場所、「Alon Alonオーキッドガーデン」を千葉県富津市に作った。

那部さんは「私の息子は知的障がいを持って生まれてきました。最初、私は自分の息子を隠そう、隠そうとしていたんですね。ですが、40歳を機に、自分の息子が悪いんじゃなくて、受け入れられない社会が悪いということに気づいた」と語った。

「経済的に自立すること」

一般的な作業所では、知的障がい者のひと月の工賃は、平均1万5000円(就労継続支援B型事業所)で、時給に換算するとわずか193円にしかならない。

さらに、知的・精神障がい者は雇用されにくいという現実もある。

障がい者年金と合わせても、自立するには難しい金額だが、ここでは10万円の工賃をもらえるメンバーもいる。

胡蝶蘭は開花すると苗の10倍の値段になり、お祝いに贈られることが多く、値崩れしにくい。

「Alon Alonオーキッドガーデン」で働くメンバーたちは、「水やり」や「芽の摘み取り」、「茎の調整」とステップアップもでき、やる気や集中力も向上していく。

ここで働く女性は「水苔を入れ過ぎないようにフワッとさせる」と栽培のコツを嬉しそうに語った 。その姿を見た女性の母親は「お花(栽培)のプロになりたいって、目の色が変わってきて、イキイキしてきました」と笑顔を見せた。

那部さんは「親亡き後、幸せな人生を歩んでいくためには、経済的に自立すること、胡蝶蘭の栽培技術というものを持ってもらって、それを評価してもらえる企業に就職するのが目標」と明かした。

那部さんはこれからも、障がいがあっても豊かに暮らせる社会を目指していく。

NPO法人Alon Alon
https://www.alon-alon.org/

SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。
https://www.fujitv.co.jp/futurerunners/sdgs.html