公的シェルター3割 民間シェルター7割…利用率に格差のなぜ?

政府は6月18日の会議でDV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者を保護する民間シェルターへの支援を抜本的に強化する方針を決めた。配偶者などからの暴力に関する相談件数は年間10万件を超えている。

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こうした被害者を一時保護するために、各都道府県が運営する公的シェルターもあるが、その利用率は3割以下と低迷している。一方、全国にある民間シェルターの利用率は7割を超え、希望しても空きがなく、なかなか入れない施設も出ている。

公的シェルターを使わない理由を聞いてみた…

なぜそのように利用率に差があるのか?ある民間シェルターをLive News daysで取材した。

今回訪れたのは都内にあるDVを受けた被害者を保護するシェルター。帰る場所がない10代~20代の女性を保護・支援する民間団体「BONDプロジェクト」によって運営されている。

23歳のあいかさん(仮名)は約1年半前に保護されて以来、このシェルターで生活している。

あいかさん(23歳)
男の人と知り合ってDVを受けて、「気持ち悪い」とか「お前の血は汚い」とか言われて。暴力もあって顔面を10発以上殴られて

入所した当初、心身共に弱っていたあいかさん。次第に回復し、「自分と同じような境遇の人を救いたい」と相談対応の手伝いも行っている。

18歳ののりかさん(仮名)は妊娠中に保護されたDV被害者。家も仕事もなかった彼女を助けてくれたのもこのシェルターだった。

のりかさん(18歳)
(BONDプロジェクトは)落ちそうなところを捕まえてくれているような感じですね

「携帯禁止・外出制限」厳しい規則も嫌われ…

実はあいかさんものりかさんも一時は自治体が運営する公的シェルターに入所していたが、ある理由からこちらに移ったという。

のりかさん(18歳)
携帯が持てないとか、時間や規則が厳しいっていう部分をみんな嫌って…

公的シェルターは、保護という観点から携帯電話の使用や外出が厳しく制限される上、入所者の年齢がバラバラだったという。

おしゃべりも禁止…心のやり場がない

あいかさん
(公的シェルターでは)しゃべっちゃいけないんですよ

島田彩夏キャスター
えっそうなんですか?

あいかさん
基本的に深いお話をすると職員に注意されちゃうから、ただただ時間を待つだけ。連絡も他の人に取れないし、心のやり場がないというか

実際被害者本人から公的シェルターでの一時保護の同意が得られない理由として「仕事や学校を休みたくない」のほか「携帯電話やスマホが使えない」「外出が自由にできない」「集団生活に不安がある」などがあげられている。

自分から声を上げられない子たちも…

また公的シェルターはニーズに合っていないとの声もある。

BONDプロジェクト 橘ジュン代表
行政は何か困っていたり大変な思いをしていたら相談に来るだろうと思っていてでもそういう女の子たちって自分から声を上げることは難しいと思っているし

そこで、この民間団体では街に出るのはもちろん、SNSでも困っている女性に接触している。

必要と判断した場合、直ちに保護しシェルターでの暮らしを勧めるという。しかしこうした柔軟な対応のためには、資金や人手が足りていないのも実情だ。

この件に関して、片山女性活躍担当相は…

片山さつき女性活躍担当相
本当に悲痛な声を上げている女性の声を一つも聞き漏らさず、助けることができるようにするために、今回初めて民間シェルターへの国としての本格支援に踏み切ったということです

(Live News days 6月18日放送より)