漁を続ける結婚40年夫婦「不漁だとケンカする」

清流・仁淀(によど)川。
2019年4月、国土交通省の全国調査で”水質日本一の川”に選ばれた。

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そんな清流が育むのは…高知の秋を代表する旬の味覚「ツガニ」!
ハサミに毛が生えているのが特徴で、別名「モクズガニ」とも呼ばれている。高級食材・上海ガニの仲間でもある。

紹介してくれるのは、食堂でツガニ料理を提供する中野三明さん(71)・葉子さん(64)夫婦。
2人は、仁淀川でツガニ漁を営んでいる。
2019年結婚40周年を迎えた中野夫妻は、2人とも仁淀川流域の出身。
妻・葉子さんは実家が川漁師だったため、同じく子どものころからこの川で漁に出ていた三明さんに魅かれ、結婚。
以来、ふたりでツガニ漁を続けている。

葉子さん;
主人が運転していくので、私は(夜は)船の上で空見ながら寝るんですよ。
そしたら空にちょうど天の川が流れて綺麗ですよ、すごく。

仁淀川流域で撮影された写真がこちら!
2018年8月に撮影されたもので、無数の星が輝いている。
(提供:一般社団法人仁淀ブルー観光協議会)

三明さん;
私も空見上げるのが好き。家内と一緒に見上げるのは…ちょっとわからんけんど。

葉子さん;
はは!どう言う意味でしょう!

星空を愛でるロマンチックな二人も不漁が続くと…

(Q.けんかする?)
三明さん;
あるある!毎回毎回!

葉子さん;
たまに船からこかされます(転がされる)からね。

三明さん;
こっちが船竿もってるから偉いで!

8月から11月にかけて行われるツガニ漁だが、9月中頃からが最もおいしい時期!
魚の頭などの餌を仕掛けた籠を川底に沈め、数日後に引き上げる方法で行われる。
1匹もかからないことも多いとのことだが、果たして…

葉子さん;
あ!見えてる、見えてる。
全然違う魚が入ってる。カニも入ってる!

一つ目の仕掛けには小さいながら1匹!
さらに!

葉子さん;
おるおる。大きなのがかかってる。

三明さん;
これはとれちゅう方やね。

葉子さん;
上等!

この日は全部で17匹のツガニがかかっていた。

三明さん:
よっしゃ!

葉子さん;
大漁、大漁!上等!

三明さん;
今日の漁は以上で終わり!

三明さん;
これぐらい獲れたら、けんかもせんけど!

(Q.不漁のときはけんかになる?)
葉子さん;
私に当たっても困るんやけど、当たるんですよね。

「大漁」と言いながら、昔に比べるとその数はぐっと減っているという。

三明さん;
昔から言うたら、10分の1もおらんろうね。

葉子さん;
自然が全然変わってきた。私たちが子供の頃はもっと川が綺麗だった。

漁獲量が減る中、夫婦がツガニ漁を続ける理由は…

三明さん;
それは…食べたらわかる!

丸ごとミキサー!で作る絶品うどん

仁淀川沿いを走る国道194号線に、葉子さんが切り盛りする食堂「ごはん処 山屋 紅」がある。
ツガニのおすすめの食べ方を教わった。

三明さん;
(鍋に)メス入りまーす。

葉子さん;
オスとメスと入れてみて。
チューチューしゆうで。照れるよー(笑)

まずは、ツガニを丸ごと湯がいた姿煮を特別に作っていただいた。

葉子さん;
カニが湯がけましたよ。さあどうぞ。
※姿煮は普段食堂では提供していない特別メニュー

甲羅を外すと、中にはカニ味噌がたっぷり!

葉子さん;
これビールのつまみに最高やけど、食べだすと”ビールが止まる”んですよ。つまみには最高やけんど、一度食べだしたら二本の手が全部(カニに)行ってしまうので…ビールに行けない!

さらに、他のカニにはない驚きの楽しみ方が!
ハサミに生えている”毛”が絶品なのだ。

葉子さん;
口の中に入れて、そのまま吸うんですよ。おつゆがブーっと!面白いでしょそれ。

(Q.ここにエキスがぎゅっと詰まってました)
葉子さん;
湯がいたダシがそこに染み込んでて、子供はそれが大好き。

そして、もうひとつのおすすめは「ツガニうどん」。

葉子さん;
(カニを)生きたまま、(ミキサーに)入れて…ジャー!

(Q.跡形もない…?)
葉子さん;
ない!

ツガニ汁を煮て、リュウキュウと一緒にいただく。

(Q.優しい味の中に何かじわっと…)
葉子さん;
コクのあるものが出てくるでしょ!

おしどり夫婦が勧める秋の味覚・ツガニの旬は、9月中頃から10月中頃までです。

葉子さん;
形は上海ガニやけど、味は全然違うよって、このコクだけはどこにも負けませんよ。この仁淀川にしかない。
元気なうちはとってもらわんと。

三明さん;
はい!

(高知さんさんテレビ)

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