コンビニでも!「手軽に現金化」を目指す

世界中で大きな反響を呼んでいるフェイスブックの仮想通貨事業参入のニュース。

ブルームバーグなどの海外メディア各社も大きく伝えていて、「新たなビジネスチャンスの可能性」と期待する記事を掲載した。

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また、ツイッターにも「化け物仮想通貨の誕生」「これは絶対くる!」などの反応が寄せられ、発表直後、フェイスブックの株価は一時上昇している。

しかし、なぜ巨大IT企業フェイスブックが仮想通貨へ参入するのか?発表の内容を詳しく見ていく。

フェイスブックは、来年から独自の仮想通貨「リブラ」を発行。利用者はスマートフォンのアプリを通じて、買い物や友人などに低コストで送金できるという。

送金の開発画面を見ると、次のような親子のやり取りがあった。

父親:
今月のおこづかいを送ったから足しにしてね。

娘:
ありがとうお父さん、愛してるわ。

このように、世界の23億人以上のフェイスブック利用者の間で送金が可能になる。

また、事業に参加する約30社の企業には、マスターカードやVISAなど、日本でも浸透しているクレジットカード会社もあり、幅広い場面で使えるとみられている。

さらに、仮想通貨に詳しいITジャーナリストの神田敏晶氏は、リブラにはもうひとつのセールスポイントがあるという。

ITジャーナリスト・神田敏晶氏:
コンビニエンスストアでスマホをかざせば、そのまま日本円になって出てくるということも実現の可能性があるということですね。

どの仮想通貨も金融機関などを通して現金にできるが、フェイスブックは今回リブラで、コンビニなどでも手軽に現金化できることを目指している。

「安定型」の仮想通貨だが…セキュリティー面など課題も

ユーザーたちは突然の発表をどう受け止めているのか。

スウェーデン人:
海外送金にとても良いよ。将来的にデジタル化は進むと思う。

日本人:
損するんじゃないんですか?

日本人:
難しそうだし、得するかわからない。

街の人からも不安の声も聞かれた。
日本でも、2017年に69兆1465億円が取引され、近年需要が高まっている仮想通貨には、ハイリスク・ハイリターンのイメージがある。

ITジャーナリスト・神田敏晶氏:
(リブラは)儲けが出るようなタイプの仮想通貨ではないんですね。

仮想通貨には「変動型」「安定型」の2種類がある。
ビットコインなどの「変動型」は価格がすぐに変動し、利用者が大きな儲けを狙う投資家向きのタイプ。
一方の「安定型」は変動を抑え、通貨としての実用性が高い。リブラはこの安定型だ。

リブラの場合、発行したリブラと同額の主要通貨や国債など、実在する複数の資産を担保することで、実在する通貨との交換レートを安定させるという。

では、フェイスブックの狙いはどこにあるのか?

ITジャーナリスト・神田敏晶氏:
発展途上国の人たちなどは、そんなに口座を持っていないけれど、(リブラを利用することで)銀行口座のようなものを持てる。
(フェイスブックの)広告ビジネスとしては、利用者が離れづらい環境を作ることが一番大きいことだと思いますね。

銀行口座がない人は、世界に約17億人。途上国の貧困層や移民たちも取り込む狙いがあるというのだ。

しかし、街の人からは…

日本人:
ちょっとセキュリティーに不安があるなというのは思います。

トルコ人:
セキュリティーが心配ですね。

昨年9月にも、5000万人もの個人情報流出を明らかにしているフェイスブック。
今回のシステムは、複数のコンピューターでデータを管理するブロックチェーンという仕組みでセキュリティーを高めるとしている。

神田敏晶氏は、決済のインフラが整えば、日本の電子マネーと近い感覚で使えると指摘する。ただ、仮想通貨リブラが一気に広がると、つぶれてしまう銀行が出るなど、セキュリティー問題以外の様々な課題も予想されるということだ。

(「めざましテレビ」6月20日放送分より)