“もちもちおばけ”が可愛い
10月31日はいよいよハロウィンだ。
今年は渋谷駅周辺の路上や公園などでの飲酒が禁止されるといった“騒動”にスポットがあたることが多いが、思い思いの仮装をしたり、ハロウィン用のお菓子作りなど日本でも秋の風物詩として定着してきている。
そんな中、和菓子屋さんが作ったハロウィン用の可愛いお菓子が話題となっている。
店主の修行先・大坂家さんがハロウィン用に目玉饅頭を売り出したことに脅威を感じ、当店もハロウィン用に調製致しました。かぼちゃ餡が入った、“もちもちおばけ”です。 pic.twitter.com/AjXfHyoZMj— 菓子 瑞庵 (@zuian0) October 26, 2019
店主の修行先・大坂家さんがハロウィン用に目玉饅頭を売り出したことに脅威を感じ、当店もハロウィン用に調製致しました。
かぼちゃ餡が入った、“もちもちおばけ”です。
Twitterに投稿されたのは可愛らしいお菓子だ。餅でおばけのような丸い形状に作られ、中にはかぼちゃの餡が入っている。顔の部分には黒い2つの目とギザギザの口がある。お菓子の名前は“もちもちおばけ”で値段は1つ280円(税込)。
販売しているのは千葉県佐倉市に店を構える「菓子 瑞庵」(@zuian0)で、公式アカウントには「開いたばかりの菓子屋です。」との紹介コメントがのっている。
この“もちもちおばけ”に対して、Twitterでは「見た目の可愛らしさもさることながら、『もちもちおばけ』というネーミングセンスが最高に可愛いです」「めちゃくちゃかわいいです……中がかぼちゃなのがハロウィンっぽいし、名前も可愛すぎです」などの声があり、約2万のいいねがつく大きな反響となっている。(10月30日現在)

和菓子屋さんがなぜハロウィン用のお菓子を作ろうと思ったのか?菓子瑞庵の担当者に詳しく話を聞いた。
「ハロウィンの和菓子を作ることについては肯定的ではなかった」
ーーなぜ作ろうと思った?
私自身、平成生まれの菓子職人ですがハロウィーンの和菓子を作ることについて肯定的ではありませんでした。
当店の上生菓子は茶道のことを念頭に調製しているため、ハロウィンを取り入れるべきか悩みました。
しかし悩んでいた矢先、修行でお世話になった三田の秋色庵大坂家がハロウィン用に目玉饅頭を裏メニュー的な扱いで売り出したという話を聞きました。大坂家という江戸元禄創業の超老舗でさえ、本腰を入れてハロウィンのお菓子を始めたのに2019年の9月にオープンしたばかりのうちがやらないわけにはいかないのではないかと思ったのが直接的なきっかけです。
ーーこれまでハロウィン用の和菓子は作ったことある?
いいえ。ハロウィン用の和菓子を作ること自体に抵抗があったため、作るつもりもありませんでした。
ーー販売期間は?
今年はハロウィンの約1週間前から、30日までです。(木曜定休のため)
2020年はハロウィン約2週間前から販売したいと考えております。
“ヒトダマ餅”という名前の候補もあった
ーー名前の候補と由来を教えて?
和菓子を作っている癖に、菓銘をつけるのがとても苦手でして……(笑)インスピレーションで出てきた候補から選びました。
安易に“おばけ”か“もちもちおばけ”、“ヒトダマ餅”で悩みました。ヒトダマ餅だとちょっとエグすぎるし、おばけだとあまりにも安易すぎて、もちもちおばけの語感には勝てないなと思ってこうなりました。
ーーどんな味?
恐らく、当店の中で一番美味しい製品なのではないかと真面目に考えております。コシのある餅の中から、熟れたかぼちゃの甘い香りと濃厚で旨味の強い餡の味が一気に広がるように作りました。
中身はハロウィンらしくかぼちゃ餡ですが店主自ら手作業で裏漉した北海道産手亡豆(インゲン豆の一種)と地元の佐倉産かぼちゃをブレンドしております。
実は外側を餅生地にしてしまうとあまり複雑な成形はできないので“もちもちおばけ”は可愛さよりも美味しさ重視のお菓子かもしれません。
ーー苦労した点は?
ハロウィンのお菓子を作ると決めてからは一直線でしたので、特に苦にも思いませんでした。

「ショーケースをじっと見つめるお客様が増えたような…」
ーー洋のイベントのイメージだが、2020年もまたやる?
正直なところ、“もちもちおばけ”を通じて真面目に作ったハロウィンの和菓子を求めておられるお客様が多いのではないかと感じました。
2020年はもちもちおばけ以外にも、自身で納得できる他のハロウィンのお菓子をご用意できたらと考えております。
ーーどんな人に買ってほしい?
このお菓子と出会えて“楽しい!”と思って下さった方に是非買って頂けたらと思います。
見た目や名前よりも味にいい意味で裏切られるようにお作り致しました。

ーー反響は?
非常に緩やかな反響かもしれませんがいつもよりショーケースをじっと見つめて下さるお客様が増えたような気はします。
とあるお客様が「もちもちおばけって……、可愛すぎかよ!」と叫んだ時は嬉しかったですね。
小さなお子様がじっともちもちおばけを見つめているのもとても嬉しかったです。
和菓子屋さんも参入するほど定着してきているハロウィンのイベント。
もちもちおばけは可愛らしくて食べるのがもったいない気もするが、見た目だけではなくお菓子としての完成度も自信の一品だった。