成人式の風景が変わる日はすぐそこまで!?

2018年1月8日。この日、新たに成人を迎える20歳の若者たちで各地は賑わいを見せるだろう。

色鮮やかな晴れ着、久しぶりに会う友との歓談、はじめての飲酒。こうした彼らの初々しい様子は、「成人の日」が制定された1948年から半世紀以上もの間、日本人の中で親しまれてきた。

しかし、もしかしたら数年後、この光景は変わっているかもしれない。成人年齢を18歳に引き下げる民法改正案が検討されているからだ。

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そもそも成人年齢を20歳と定めた現行民法ができたのは、今から120年以上前の1896年のこと。なぜ今になって18歳引き下げの議論になっているのか。それは、2007年に成立した「国民投票法」に起因する。

同法で国民投票権を有する者の年齢が18歳以上と定められ、それとともに公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢が検討されることになった。その後、2015年に公職選挙法が改正され、18歳選挙が実現。次の段階として、成人年齢の引き下げがテーマになっているというわけだ。

もし成人年齢を引き下げるとしても、飲酒や喫煙、公営ギャンブルができる年齢は20歳以上に据え置く方向で決まっていっているが、まだ確定していないことも多い。しかし、国民の関心がそこまで高まっていないのも事実。

内閣府が2013年に実施した世論調査によれば、「成年年齢の引下げの議論」に関心がある人の割合は69.8%で、2008年に実施した調査から5.6ポイント下がった。年齢が低いほど関心が薄いというデータも出ている。

成人年齢の引き下げによって何が変わる?

成年年齢を20歳とするのは世界的に見たらマイノリティ。それに18歳以上を大人と定義する『子どもの権利条約』には日本も批准していますから、厳密に言うと国際法違反でもあります。

それを文科省は無視し続け、サボタージュしてきました。もし18歳成人が成立すれば、ようやく日本が世界に追いついたことになるのではないでしょうか

そう話すのは、教育評論家の尾木ママこと尾木直樹さん。

ちなみに世界に目を向けると、成人年齢のデータがある国・地域 187のうち成人年齢が18歳(16歳・17歳も含む)の国・地域は 141にのぼる(※法務省調査資料2008年)。日本のように成人年齢を20歳以上に定めている国は少数にとどまっている。

実際に成人年齢を引き下げることによってどのようなメリットがあるのだろうか?

「近年になって実現した18歳選挙権もそうですが、成人年齢が引き下げられることによって、子どもたちは社会をより意識するようになります。また、早期から自立心を芽生えさせることにも繋がります。これは社会にとって非常に良いことです」

また、教育カリキュラムを変えることによるメリットも期待できるという。

「高校に成年と未成年が混在することになりますし、小学校卒業から成年になるまで8年あったものが6年に短縮されるわけですから。あらためて教育を考えるきっかけにもなると思います」

学校教育の現場で大きく変わるのは「隠れたカリキュラム」

学校のカリキュラムには、表に見えるフォーマルなものとは別に「隠れたカリキュラム」というものが存在するという。

これは教育する側が意図する・しないに関わらず、生徒自らが学校生活の中で学びとっていく規範や価値、社会的責任などの事柄を指すのだが、この中身が大きく変わると尾木ママは話す。

「生徒は学校生活の中で先生の姿を見ながらさまざまな情報を学び取ります。それが18歳成人の実現によって変化していくはずです。特に顕著になるのが生徒と先生の関係です。

高校生は在学中に成人を迎えるわけですから、先生は生徒をひとりの大人として接する必要が出てきますし、逆に生徒は先生と同じ大人の土俵で物事を考えなければいけなくなります。その日が来るまで、双方がどのようなステップを踏んでいくべきなのか。きちんと考えなければいけません」

たった2歳だが、その差は数字で見る以上に大きい。だからこそ本特集では、「成人とは?」「大人とは?」について腰を据えて見つめていきたい。


尾木直樹さん
教育評論家、臨床教育研究所「虹」所長、法政大学特任教授。滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、私立海城高校、東京都公立中学校教師として、22年間子どもを主役とした創造的な教育を展開、その後大学教員に転身して22年、合計44年間教壇に立つ。情報・バラエティ・教養番組にも出演しており、「尾木ママ」の愛称で親しまれている。