美を讃えた麺の上で、静謐のおあげに出逢う

今朝、新聞の折込チラシを見ていたらいつも通りマンションの広告が入っていた。

「美を讃えた麺の上で、静謐のおあげに出逢う」…?

「それはおあげではなく、そしておあげでもある」…?

希望小売価格180円…?

熱湯5分圏内、胃袋直結…

…どん兵衛の広告だった。

天ぷら。それは、天まで響くプライド。

マンションポエムならぬどん兵衛ポエム

マンションポエムと呼ばれる、高級分譲マンションの広告でよく使われる独特な言い回し。

過剰とも言えるほど情緒にあふれているということで、「作品」としてネット上でまとめられているほど人気がある。

「○○からの贈り物」「歴史が響き合う○○」「○○の未来と、○○の高みへ」「継承される○○」「静寂と躍動、伝統と進化」「時に磨かれた○○の邸宅地」などの言い回しや、「澄む(住む)」「邸(いえ)」「刻(とき)」「愉しむ(楽しむ)」「瞬間(いま)」など独特な漢字の読ませ方など、一度は目にした方も多いだろう。

そんなマンションポエムのような表現がなぜどん兵衛で?と今ツイッターなどのSNSでバズっている。

その疑問を直接日清食品ホールディングスに聞いたところ

「どん兵衛の美味しさを改めて皆さまにお伝えするためには、未だ挑戦していない領域に踏み込む必要があるのではないか」という考えのもと、表現の豊かさを突き詰めていった結果、マンションポエムならぬどん兵衛ポエムによる品質表現にたどり着いたということだった。

一つ一つの表現に注釈があり、広告下部には細かい文字で本物のマンション広告のように「感覚的なもので、全ての人がそう感じるわけではありません」と書いてあるのも秀逸だ。

社内でどん兵衛ポエムへの反対意見は無かった

さらに、新宿駅の南口ではスーツを着た住宅販売の営業マンがティッシュ配り…ではなく、ここではどん兵衛ポエムのチラシが入ったティッシュを配っていた。

「おつゆが溢れた時に使ってください!」

「おつゆが飛んだ際にお使いください!」

受け取った人は、ティッシュを二度見してニヤリ。

新宿駅でティッシュ配り

先日話題になった有名ラーメン店・ラーメン二郎をどん兵衛で模する「どん二郎」や、20年近く前に失敗した商品を再発売する「黒歴史トリオ」など、ネット上でバズる広告を出し続ける日清食品。

こんな不思議な広告、反対意見などなく上司の決裁は降りたんだろうか…

これも日清食品ホールディングスに問い合わせたところ、

『社内でも、どん兵衛のこだわりをみなさまにお伝えするための表現手段を常日頃、模索しておりました。その結果、「ポエム」に至ったのはいわば必然であり、社内ではより表現豊かなポエムを作り上げるための議論は盛んに行われましたが、「ポエム」への反対意見は挙がりませんでした

とのこと。

筆者が一番気になった「夜」を「こばら」と読ませる、読めるはずがない読み方について聞いたところ、「簡単に申し上げますと、「夜食のどん兵衛は格別」だからです」と断言された。

パッと見て、じっくり見て、二度楽しめる、こんなバズる広告が今後どんどん出てきてほしい。


(執筆:editors room)