肌を守る「日焼け止め」小学校のプールで使用NGに

いよいよやってきたプールの季節。夏の外出には欠かせないという人も多い日焼け止めだが、そのプールでの使用に関して注目が集まっている。

「日焼け止めクリームの使用はご遠慮ください」

これは、埼玉県ふじみ野市のある小学校が、プールの授業で日焼け止めクリームを使うと水質に影響があるとして、使用を控えるよう求めた一文だ。

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学校から配布されたプリントに対して、保護者は…

日焼け止め原則NGの小学校の保護者A:
女の子のお母さんとかは、気にされている方はいますね。

日焼け止め原則NGの小学校の保護者B:
うちの子、特にすぐ(紫外線を)吸収しちゃうので。(クリームを)塗れるものなら塗りたいですね。

気象庁のデータを見ると、生物への悪影響が懸念される紫外線の量は、近年ゆるやかな増加傾向にある。

さらに、専門家は次のように指摘する。

日本臨床皮膚科医会・島田辰彦学校保健委員長:
子供たちの肌は未熟です。激しい日焼けを何回も繰り返すと、皮膚がんの誘因になるということが分かっています。

今回の小学校の対応に困惑する保護者もいるが、その他の学校ではどのような対応が取られているのか? また、日焼け止め以外の有効な紫外線対策についても見ていく。

小・中学校の約3割が使用制限 水質への影響はどれくらい?

そもそも、プールの授業で日焼け止めクリームを使っていいかは、各学校が判断する。

2015年の調査データでは、屋外プールの小学校の約3割で使用を許可していない。中学校以上でその割合は増え、高校では約半数で日焼け止めの使用が禁止されている。

埼玉の小学校は、水質に影響があるとして日焼け止めの使用を控えるよう求めたが、その背景には、こんな理由もあるという。

埼玉県ふじみの市の教育委員会:
日焼け止めが溶けた水を口にするのを不安視する保護者の思いを汲むと、日焼け止めを一律に塗りましょうとは言いづらい。

では、日焼け止めクリームはプールの水にどれくらい影響を及ぼすのか?

多くの学校で導入しているのが、ろ過装置を使った循環システムで、プールの水を日々、浄化している。

大阪府の皮膚科医会は公立の中学校14校で水質調査を行い、pH・濁度・遊離残留塩素・大腸菌・過マンガン酸カリウム消費量・トリハロメタンの衛生基準の主要6項目をプール授業開始直後とシーズン終了後に計測。

使用NGの7校、制限なしの4校、条件付きで使用許可の3校を調べたが、どの学校も検査数値に大きな差がなく、基準値以下の結果になったという。

「耐水性」は使用OKに 一般プールのルールは?

こうした状況を受け、千葉市の小中学校では、昨年から日焼け止めクリームを使った紫外線対策を推奨。

取材した千葉市内の中学校でも、昨年から水に溶けにくい耐水性の日焼け止めに限り、使用を許可している。

千葉市教育委員会・古山智和さん:
これだけ酷暑と言われていて紫外線も多い中だと、健康ということをまず考えなければいけない。

日焼け止め使用に関するルールは、一般のプールでも判断が分かれている。

6月29日からプール営業を始める「よみうりランド」では、サンオイルや日焼け止めは耐水性のものなら使用可能。

一方で、使用制限がない場合や日焼け止めクリームを落としてから利用するよう求めている場合など、一般のプールでも場所によってルールはさまざまだ。

紫外線を直接浴びない!3つの対策

とはいえ、肌の弱い人にとって紫外線によるダメージは深刻。

そこで注目を浴びているのが、皮膚を保護する 「ラッシュガード」。水着の上から着ることで日焼け対策になるとして、着用を認める学校も増えているという。

日本臨床皮膚科医会・島田辰彦学校保健委員長:
(ラッシュガードは)日焼け止めと違って汗に流れることもないので、とてもいいと思います。それでもむき出しのところ、例えば顔や首などは、日焼け止めを塗ってほしいです。

ラッシュガードの他に、紫外線の強い午前10時~午後2時をなるべく避けるなどして時間を工夫したり、プールサイドにテントやプール上に天幕などを設置して日陰を作ったりすると、効果的だという。

紫外線対策をしっかりとして、安全にプールを楽しんでほしい。

(「めざましテレビ」6月27日放送分より)