「クライアントに提案する資料を、明日までに作らなければいけない!」

…このように情報を集めて整理し活用しなければいけない局面は、ビジネスマンにとってはよくある一幕だ。しかしネットにある膨大なニュースや資料のほか、テレビやラジオ、新聞など、現代には情報ソースと呼べるものが数多くある。それらのなかから必要で質の高い情報に最短で辿り着き、正しく活用する方法を得られれば、きっと大きな武器になるに違いない!

そこで『8割捨てる! 情報術』の著者であり、マーケティング・コンサルタントとして活躍中の情報摂取のプロ・理央 周さん話を聞いた。

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モノゴトの裏に潜む本質的な情報を得るには“日ごろの心がけ”が大事

「まず活用すべき情報を定義すると、顕在情報と潜在情報に分けられます。たとえば新規開拓した営業先にプレゼンをするときは、当たり前のように事前にその業界に関わる情報を探しますよね。このような業界情報が顕在化している情報、顕在情報です。

一方の潜在情報は、まったく違う分野にあったりする情報だけど、実は求めている分野と因果関係がある…など、ものごとの奥に潜む本質的な情報。こればかりは常にアンテナを立てておき、強制的に発見できる仕組みを作って、認識できるようにしておくことが大切なんです」

前者が誰でも探せるありふれた情報だとすれば、後者は“近道のない”情報。的確な情報を探し出すためには、日ごろの備えが大事なのだ。そのために情報が強制的に入ってくるようにしておくことがいいという。まずは新聞を一面から見たり、ラジオやテレビなどを欠かさずチェックするクセを付けることが求められる。

「ネット閲覧は毎日のルーティンにするといいですよ。トップラインのニュースは見ておきたいので、例えば日経電子版や東洋経済オンライン、ロイター通信など、信頼度の高い情報がそのまま届くアプリを入れておく。またテーマを登録しておくと自動的に検索結果が指定のタイミングで届く『Googleアラート』もいいですね。そんなものを活用すれば、毎日最新の検索情報がチェックできると思います」

ネットにうごめくムダやウソ、効率よく判別するには?

裏を返せば、付け焼き刃の情報では心許ないということ。知識の蓄えがある状態にしておくことが、情報摂取の要だという。そのうえで目的の情報を取りに行くわけだが、そこにもひとつ注意点がある。

「何も考えずに情報収集に臨むと、情報に振り回されてしまうんです。現代は、情報の総量は増えていませんが、メディアが細分化した結果、その流通量は圧倒的に増えている。

ほんの十数年前、天気を知るためにはニュースか電話くらいだったじゃないですか。今はネットをはじめとして、比べものにならない量が流通している。しかもそこには介在者がいて、様々な解釈が横行していることもある。間違った分析も多いから、仕分ける必要があるんです」

“釣られる”という言葉があるように、ガセネタに踊らされてしまう話はよく聞く。そうならないためには、ある種のフィルターを用意しておくことが大切だという。

「大事な情報を先に“選択”して探そうとするのではなく、例えば見つけた情報の数が100個あるとしたら、うち約80個分の情報に関して、その優先順位を下げるのです。

そのための仕分けフィルターは、たとえば同じ情報でも、『信頼できるメディアなのか』『古い情報ではないか』『個人発信の情報は除外する』など、自分のなかで定性的な基準(足きりライン)を設けておくことです。ただフィルターで弾いた情報でも、『匂うな』などと思ったら、深掘りしておくことも大事です。そのためには経験則に裏打ちされた勘が必要ですが」

情報を取っておいてあとから仕分けしようとするのはムリだという。その場で仕分けておくクセを身につけておくことが、精度の高い情報を数多く集めるためのポイントなのだ。

情報は得たうえで、“活用する”ことこそがもっとも大事

紙媒体や放送メディアで得た情報は自分というデータベースに蓄積し、玉石混交のネットの情報はフィルタリング。メディアの特性を理解して正しく摂取した情報は、どう活用していくべきなのだろうか。

「手元に残ったデータは宝の山です。仕事の目的は成果を出すことですから、情報に隠された情報の含意(インプリケーション)をどう見つけるかが鍵となります。

抜きんでるポイントは、情報摂取して蓄えた知識や仕事の経験を動員して、データの異常値や特異点を見つけることです。つまり、“審美眼”が必要。たとえばイケメン男性が多く所属する芸能事務所には、わかりやすいイケメンのみならず、『おやっ?』と疑問に感じる人までいろいろいるけど、『おやっ?』な人も売れるじゃないですか。

これは情報も同じで、他人が目を付けない情報から、『その情報に含まれた特異性』を分析で見いだせるかが鍵。これがすなわち“インテリジェンス”です」

そのスキルを磨くためには、普段から情報を定期的に見ることに加え、多様な視点からものごとを見るクセ、そして普段から仮説を立てるクセを付けることだという。

「たとえば市場規模や価格推移など数量的なデータだとしたら、平均で10の推移のなかで、まれに15や5に推移したりする、その『特異点』を見つけられる目を養いましょう。

それは毎日同じ条件で情報を見ているからこそ得られるものですよね。そしてなぜそうなったか、検証をして仮説を立てましょう。自分の中の理屈には限界があるので、たとえば同じ視点を持った別の誰かに聞いてみる、といったこともオススメです」

情報を活用して生まれた“考察”は、それを共有することも大事だという。

文=吉州正行

理央 周(りおう めぐる 本名:児玉洋典)
マーケティングアイズ株式会社代表取締役、関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科准教授。静岡大学人文学部経済学科卒。フィリップモリスなどを経て、インディアナ大学経営大学院にてMBA(経営学修士)を取得。アマゾンジャパン株式会社、マスターカードなどで、マーケティング・マネージャーを歴任。2010年に起業し、マーケティングアイズを設立。翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向けコンサルティングと、従業員をお客様目線に変える社員研修、経営講座を提供。著書に「なぜか売れるの公式」「8割捨てる!情報術」(日本経済新聞出版社)、「なぜお客様はそっちを買いたくなるのか?」(実務教育出版)など多数。「タケシのニッポンのミカタ」(テレビ東京)ほか、テレビにも多数出演。マーケティングの基礎を事例から学ぶ「なぜか売れるの公式」文庫本出版記念セミナーを、2017年9月20日(水)に名古屋で開催!
http://www.businessjin.com/report/2017/07/-in.html