あなたもやってない? 親切心が「迷惑」になっているかも

ありがた迷惑」
人の親切や好意が、かえって余計な干渉で迷惑だと感ぜられること。

今、そのありがた迷惑にまつわる指摘がSNS上で話題となっている。それがこちら。

【旅館の清掃係からのお願い】
チェックアウト時は、布団は畳まないで、そのまんまで部屋を出てください。

旅館をチェックアウトする際、布団をきちんと畳んで帰るという人も多いだろう。
しかし、旅館側からすると、実はこれが“ありがた迷惑”だというのだ。

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これに対して、ネット上には「修学旅行で習ったのに…」「次からを付けます!」とのコメントが寄せられている。また、街で聞いてみても、驚きの声が聞かれた。

女性A:
あっ、そうなんですか~!?いい迷惑でしたね…

女性B:
ちょっときれいにしていくと、気遣いができる女だと思ってたのに。

全国の旅館88件に調査したところ、「チェックアウト時に布団を畳む行為」のありがた迷惑度は65%だった。

さらに、旅館だけでなく飲食店や美容院にも、さまざまな“ありがた迷惑”が溢れていた。
そこで、今回のココ調は、意外と知らないありがた迷惑を調査した。

【その1・旅館編】布団を畳んであると手間が増える…作業時間の差は?

まずは、なぜ布団を畳む行為がありがた迷惑なのかを聞くため、香川県琴平町にある江戸時代から続く老舗旅館「こんぴら温泉郷 つるや旅館」へ。

おかみさんに話を聞いた。

7代目女将・小寺貴実子さん:
お客様のお気持ちはありがたいんですけれど、畳まなくて結構です。

その理由を清掃部長が教えてくれた。

つるや旅館・三木武史部長:
きれいにしてくるのは、ありがたいんですけれど。一回広げる手間がかかる部分かなと思います。

布団に挟まった忘れ物のチェックやシーツと布団を分ける必要があるため、畳んであるともう一度広げなければならないというのだ。

つるや旅館・三木武史部長:
数が増えれば、その(清掃の)時間がかかってくるようになると思うんですけど。

そこで検証!畳まれていない時と畳まれた時とで、シーツと布団を仕分けるまでにかかる時間を比較した。

協力していただくのは、老舗旅館を影で支えるこの人たち。三木さん率いる、“つるや清掃部軍団”だ。

まずは、畳まれていない布団から。
ムダな動きは一切なく、2組のシーツを華麗に剥がしていく三木さん。タイムは28秒95だった。

続いては、畳まれた布団に挑戦。
先ほどと同様に華麗にシーツをめくりあげていくが、2枚目の布団を広げるのに時間がかかってしまう…

結果は38秒40。その差は約10秒だった。

他の2人のタイムも計測して平均してみると、畳まれていない布団との差は、約9秒という結果になった。

つるや旅館・三木武史部長:
これが2枚、3枚になると、30秒~1分とまた違いが出てきますのでね。

布団を畳まずチェックアウトする方が、清掃係にとってありがたいのかもしれない。

【その2・飲食店編】注文した品が届いた時の“親切”に潜む危険性

続いては、飲食店の63%がありがた迷惑と回答した行為。それは、「トレーに載っているものを取る」こと!

街の人は良かれと思ってやっているようだが…

女性C:
負担を軽減させてあげたい。もうすぐ「あぁもらいますよ!」みたいな。

女性D:
(たくさん持っているから)見ててこぼれそうだと思っちゃう。だから、良かれと思ってやってました。

飲食店の店長がその理由を教えてくれた。

肉バル イノシカチョウ 大宮店・岸本賢知店長:
「取ります、取ります」ってやってくれることがある。お客様としてはすごく進んでやってくれるんですが、バランスを崩してしまったりして落としてしまうことがあるので。

お盆から急にグラスを取ってしまうと、バランスが崩れて載っているものを落としてしまう危険があるというのだ。

そこで、グラスをとった時に重さのバランスがどう変化するのか、物理学的に検証!

お盆の3か所にはかりを置き、重さをすべて同じ状態にしてバランスをとる。
ここにグラスを載せると、はかりの重さはそれぞれ A:569グラム、B:354グラム、C:569グラムとなった。

しかし、この状態から急にグラスを2つ取ると重さに変化が…

Cのはかりが約400グラム減って175グラムに、Aのはかりは514グラム、Bのはかりは208グラムになり、大きくバランスを崩してしまうことがわかる。

この結果を物理の専門家に解説してもらった。

東大螢雪会 物理科講師・野沢健児さん:
500グラムに対して400グラム(減る)というのは、大半無くなってしまったようなものです。急に下で(手の位置を)変えるということはとても難しいので、どうしたって傾きができてしまうのではないでしょうか。

店員さんがバランスを崩してしまうかもしれないので、これからは店員さんに配ってもらうようにしよう。

【その3・美容院編】カット&シャンプー時の“あの行為”に美容師は困っていた

最後は、美容院の55%がありがた迷惑と回答した「切りやすいよう頭を傾ける」行為。

街で聞いてみても、皆さん、良かれと思ってやっているようだ。

女性E:
切りやすそうにしてあげたい。親切心で、ちょっと気をつかったつもりだったんですけど。

女性F:
「動かさないで」って言われたりしない?頭を元に戻されたり。

美容師がありがた迷惑と感じるのには、2つの理由があった。

アグヘアーミーア 高円寺・稲毛俊輔店長:
優しさでこう(頭傾けるのを)やってくれたりするんですけど、ありがたいんですが、ちょっと…やめていただきたい。

頭を傾けることで、掴んでいる髪の毛がすり抜けてしまったり、耳にハサミがぶつかり事故の原因になったりする可能性もあるため、できればしないでほしいという。

さらに、シャンプー中にもありがた迷惑があるという。

スタイリスト・義則絢脩さん:
首元を洗う時に、自分の力で(頭を)上げていただく方が多いんですけど、それしていただくと首元が濡れちゃうので。

そう、首元を洗うときに頭を上げるこの行為!ほとんどのお客さんがするというが、実は美容師にとってはありがた迷惑だった。

どれくらい濡れてしまうのか?ココ調スタッフが、頭を上げた場合と上げない場合とで髪を洗ってもらい、首に巻くタオルがどれくらい濡れているかで検証した。

タオルを比較すると、その差は歴然! 頭を上げた方は広範囲に水が濡れてしまっているのに対し、頭を上げてない方は全く濡れていない。

頭を上げない方が濡れる心配をしなくて済むので、髪を洗う際は美容師さんにすべてを委ねてみてはいかがだろうか?

ちなみに、アパレル業界からは「陳列された服を広げた後に畳む」行為もありがた迷惑という意見もあった。理由は、思わぬシワがついてしまうからだという。

「対応してくれる店員に負担を掛けないように」と親切心からついやってしまうことが、かえって迷惑をかけてしまう場合もある。接客を受ける際は、気張らずに店員を頼ってもいいのかもしれない。

(「めざましテレビ」『ココ調』6月28日放送分より)

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