青森県の県民手帳が生活雑貨店「ロフト」の都内2店舗で販売され、人気を呼んでいる。
2014年版以降、県民手帳の売り上げでベスト3以内を維持しているのだが、青森から遠く離れた東京でなぜ、青森県の県民手帳が売れるのか?
青森県の県民手帳とは
青森県統計協会が毎年発行している手帳で、カレンダーやスケジュール表などのほかに、青森県の観光名所や県内のイベントカレンダー、豆知識、統計データが盛り込まれている。
1958年から発行されていて、11月1日に販売を開始した2018年版で60冊目になるロングセラー。
価格は500円(税込)。

このように青森県の情報が盛り込まれた手帳がなぜ東京で売れるのか?
渋谷店と銀座店で全国の県民手帳を取り扱っている(2018年版は40県)、ロフトの広報担当者に話を聞いた。
人気の理由はカラーバリエーションの豊富さ
―青森県の県民手帳が人気の理由は何だと思う?
他県の県民手帳が黒、赤、紺などビジネスっぽい色が多いのに対し、青森県民手帳の2018年版は5色でカラーバリエーションが豊富。
5色揃っているのはあまりなく、好きな色を選べるのが大きな理由だと思います。

―県民手帳の取り扱いを始めたのはいつ?
2013年版からです。
―県民手帳の取り扱いを始めた理由は?
2012年9月に渋谷ロフトがリニューアルをし、1階の売場に日本のお土産物を展開する売場を設置したのですが、その売場では、だるまなどの日本の伝統品も置いていました。「日本」つながりで県民手帳の存在に注目した社内の人間が、日本全国の県民手帳を集めるよう指示し、販売したことがきっかけです。
ですので、当初は手帳カテゴリーというよりは、日本のお土産物として販売していました。
2013年版は渋谷ロフトのみですが、その後、2014年版では有楽町ロフト(現・銀座ロフト)でも展開するようになりました。
―スマホなどでスケジュール管理する人も増えているが、紙の手帳の人気は根強い?
売り上げは横ばいです。
そもそも紙に書くのが好きな人がいるのに加え、スケジュール管理以外のところに魅力を感じているのだと思います。
たとえば、最近では手帳として使う人や、女性だと「なりたい自分になるための目標」を書く人もいます。スマホではこういったことができないので、紙の手帳が支持されているのではないでしょうか。
では、遠く離れた東京で手帳が売れていることを発行元はどう捉えているのか?
青森県県民手帳の発行元、青森県統計協会の担当者に話を聞いた。
多くの人の目にとまるのはありがたい
―青森とは遠く離れた東京都内のロフトで売れていること、どう思う?
多くの人の目にとまるところに置いてもらえるのはありがたいです。
―なぜ、都内のロフトで売れていると思う?
他県の県民手帳に比べ、5色と選べる色が多いのが特徴で、この多色展開が目をひいているのではないでしょうか。
―青森県の県民手帳はどれぐらい売れている?
2016年版の販売部数は2万2000部、2017年版は2万1000部です。
―これまでで一番売れたのはいつ?
2016年版です。
前年度までは5色展開だったのですが、この年は7色展開に増やしたため、これが目を引いたのではないかと思います。
―その翌年、2017年版は1000部、販売部数を減らしている。これはどうしてだと思う?
2017年版は2016年版と同じく7色展開だったのですが、色も2016年版と全く同じ色でした。
これが影響しているのかもしれません。
これを受け、2018年版は5色展開とカラーバリエーションは減ったのですが、5色すべてリニューアルしています。
―手帳には「東京地下鉄路線図」も載っている。これはなぜ?
電話などで手帳に対する要望をいただくことがあり、毎年少しずつリニューアルしているのですが、その要望に応えたのだと思います。
―2018年版から手帳に載っている青森の豆知識、たとえばどんなもの?
1ヶ月に1~2つのまめちしきを載せているのですが、たとえば1月は「青森県の2018年1月1日の日の出の時刻は7時1分」「県内で一番、日の出が早いのは階上町」というものです。
―県民手帳は1958年から毎年発行し、2018年版が60冊目。スマホでスケジュールを管理する人が増える中、紙の手帳を発行し続ける理由は?
スケジュールを管理するという手帳の機能だけでなく、青森の美味しいものなど青森県の情報も載せていまして、そういった面の需要もあるのではと思い、発行し続けています。
(執筆: editors room)