世界中の面白い記事をギュギュギュっと凝縮した「クーリエジャポン」の井上威朗編集長に今週も世界のニュースを伝えてもらいます。

連日トランプ大統領が話題になる反面、表舞台から去ったオバマ前大統領は、最近あまり大きなニュースになっていませんでした。ところが先日、久々にニュースになりました。何のニュースかというと…そう「講演料」の話題。

講演料4500万円!荒稼ぎするオバマ前大統領

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ウォール街にある投資銀行が今年9月に行われる医療保険制度に関する会議でオバマ氏に講演を依頼。その講演料が4500万円であることが明らかになり物議を醸しているのです。

そもそも、アメリカでは退任後の大統領が、講演などで稼ぐのは珍しいことではありません。その筆頭は、民主党の先輩大統領ビル・クリントン氏 。

一部報道によると、2011年香港で行われた講演料は8500万円。2013年イスラエルで行われた講演は5600万円と、退任後16年たった今でもダントツにお値段が高い。年間20億円くらい講演料で稼ぎ、退任後、これまでに講演料だけで170億円以上稼いでいると伝えられています。

ちなみに、ブッシュ元大統領は一回の講演料が1200万円~高くても1700万円くらい。いかに、クリントンさんが人気なのかがわかります。一般的には、共和党より民主党の大統領経験者のほうが稼げるといわれています。

4月24日、退任後初めてオバマ前大統領は地元シカゴ大学で「地域運動」や「市民との繋がりの重要性」について話をしました。大統領になる前、人権派弁護士としてシカゴの貧困地区のコミュニティ活動から大統領にのぼりつめた人物らしく、こちらの講演はお金を受け取っていないそうです。

ところがその前後に、講演料や、回顧録など、「お値段」が徐々に明らかになってきたことでメディアの注目を集めています。9月のウォール街の証券会社の講演料が4500万円ということに対してNYタイムスは、『オバマは「市民の味方」と「40万ドルのエサ」を天秤にかける』という辛辣な見出しの記事を掲載しました。

その記事では、彼が「貧しい人々を救うため」に政治の世界に入ったことに触れ、1回の講演で大統領在任中の年収にあたる金額4500万円での講演は “裏切り行為”ではないか?もし彼が金儲けに走ったとしたらがっかりだ…と書かれています。

これに対して、オバマ氏の広報官は、今回講演を引き受けた理由は熱心にオバマ氏が取り組んできた「医療保険制度」に関する内容だったからだと説明しています。

大統領夫人も相当稼ぐ

また、オバマ氏だけでなくミシェル夫人も頑張っています…。

4月27日、フロリダで夫の退任後初めて講演を行い20万ドル(2300万)の講演料を受け取ったと伝えられています。ちなみにヒラリークリントン氏の講演料も、これくらいの金額といわれているそうです。

元大統領の「回顧録」はビッグビジネス

元大統領のお金にまつわる話は、この講演料にとどまりません。「回顧録」という、巨大なビジネスチャンスがあるのです。

在任中、「不適切な関係」などいろいろあったクリントン氏の回顧録「MY LIFE」の契約料で17億円(1500万ドル)。911テロやイラク戦争のことが描かれたブッシュ氏の「決断の時」は11.3億円(1000万ドル)。かなりの収入が期待されるのです。

今回アメリカの大手出版会社・ペンギンランダムハウス社がオバマ氏とミシェル夫人の二人の回顧録の世界出版権を、破格の6500万ドル(約74億円)で獲得。歴代の大統領に比べ、オバマ夫婦の契約料がいかに“破格”かわかると思います。これらの「お値段」は、どう決まるのか?

基本的には、需要と供給。クリントン氏が退任して16年経つ今でも人気なのは、その人脈や影響力に加えて語り口もソフトだから。すなわち人気アーティストのチケットのお値段と同じなのです。

クリントン氏の場合も、夫婦で財団を持っていて収入は財団に入り、さまざまな慈善活動に使われています。オバマ氏も当然財団を持っていて、これらの金額が個人のポケットマネーになるわけではありません。

有名な話ですが、退任後の大統領は、生涯年金として年2000万円その他、医療保険、警護(SP)、個人事務所の費用などが保障されています。

オバマさんは現在55歳とまだ若い。人気があるだけに引く手もあまた。彼のイメージが常に「弱者の味方」だっただけにどこまで稼ぐ必要があるのか?それとも、集めたお金で、より積極的に慈善活動を行うことに理解を得られるのか?しばらく注目を集めそうです。

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https://courrier.jp/news/archives/84804/


(執筆:LUNCH TAG)