あなたは、「シラミ」と聞いてどんなイメージを抱くだろうか? 多くの人は、戦後のことだと感じるかもしれないが、特に子育て中のパパ・ママにとってはなじみ深い存在。現代でも、子どもたちを中心にシラミに感染することは少なくないからだ。

東京都福祉保健局によると、アタマジラミに関する相談件数は、平成19年度の1935件をピークに減少傾向にあったが、平成24年度は815件、平成25年度は1321件、平成26年度には1602件と、年々増加しているという。これほど衛生状況が良くなった現代でも、なぜシラミは流行する…?

そこで今回は、「アタマジラミ」の流行について、「蚊取り線香」や「虫コナーズ」などでおなじみのキンチョウ(大日本除虫菊株式会社)の広報・安久多恵子さんに話を聞いた。

人間に寄生する「シラミ」はおもに3種類!

まず、流行するシラミの種類については、次のように話す。

「シラミ」と言っても、様々な種類がいることが予想されるが、「人に寄生するシラミは、頭髪に寄生するアタマジラミ、着衣の衣類の折り目などに潜み吸血する時に皮膚につくコロモジラミ、おもに陰毛に寄生するケジラミの3種です」(大日本除虫菊株式会社 広報担当安久多恵子さん、以下同)。

先述のように、子どもたちを中心に感染が広がるのはこのうち「アタマジラミ」なのだが、どのようなきっかけで感染してしまうのだろう?

アタマジラミは頭髪と頭髪の接触で、人から人へとうつります。例えば、幼児や小学校低学年頃のお子様が頭をくっつけて遊んでいる時や、お昼寝・お泊り保育の時などに感染してしまう可能性があります。

また、プールやお風呂で、脱衣カゴやロッカーにたまたま落ちていたシラミが自分についてしまったり、一度頭に触れたタオルやクシなどを他の人と使い回したりすることでも感染する可能性があります。

ただし、水の中では、シラミは落ちないよう毛にしがみついているので、水中での感染はまずないと思います」

子どもの場合、遊びに夢中で知らずのうちに頭同士がくっついてしまうことがひとつの要因と考えられるが、感染の可能性は子どもだけではない。安久さんいわく、子どもが保育園や幼稚園、学校などで感染し、家で家族に感染が拡大してしまうということも起こり得るというから、大人も注意したい。
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「シラミ」=「不潔」は勘違い

「アタマジラミ」に感染するのは「不潔にしているから」と不衛生によって生じることと思いがちだが、どうやらそれは勘違いらしい。

「アタマジラミは接触で感染しますので、誰でも感染する可能性があり、毎日シャンプーしていてもうつってしまいます。なので、清潔・不潔は関係ありません。“シラミがわいた”などと言われることもありますが、シラミは不潔が原因でわいたりするものではありません」

とはいえ、やはり清潔にしているに越したことはないようにも思うが…。

「入浴・シャンプーをする頻度が高いと、その分シラミを見つけられる機会も増え、また、日常的に髪の毛を手入れすることで除去できるシラミもある、という意味では一定の効果は期待できるかもしれません」

シラミは不潔にしていることが原因で発症するものという認識は、特に子どもたちの間ではイジメに発展しかねない。

親としてそれだけは避けたいところだが、そのためには、まず自分がきちんと知ることが大切だ。

シラミの予防法&発見した時の対処法

アタマジラミのおもな症状としては「かゆみ」があるそう。

また、かきむしりすぎて傷口ができ、そこから細菌などに二次感染してとびひになる可能性もある。

しかも、「感染してもすぐにかゆみは感じず、気づきません。かゆみが出た時には、感染から1カ月以上経過しているケースがほとんどです」というから厄介だ。

そこで、そもそも感染しないよう何か予防法はあるものか聞いてみたところ、「頭の接触を減らすこと」と「体に触れるものを共有しないこと」だという。

「クシやブラシ、タオルや帽子などを他の人と使い回ししないようにしてください。

ただ、どんなに気を付けていても、特にお子様は無意識につい頭を寄せ合ってしまうものです。日頃からお子様の頭をマメにチェックし、シラミに感染していないか確認してあげて下さい。

シラミに早く気が付いて、早く対応することで友だちや家族への感染拡大を防ぐことができます

アタマジラミを発見した場合、シラミ駆除剤を使って早めに駆除することが必要だという。

「シラミ駆除剤1回の使用でシラミの幼虫・成虫は駆除できますが、卵は固い殻に覆われているので、その卵がかえるのを待って退治していきます。

なので、3日に一度ずつ合計3~4回使用し、約10日ですべて駆除できます。アタマジラミの卵はセメントの様な物質で髪の毛にしっかりと付着しているので、駆除が終わってもいつまでも付いています。

放置しておいても問題はありませんが、気になるなら、目の細かいクシでよくすいて取り除いてください」

誰かひとりでも感染が確認出来たら、ほかの家族にも感染している可能性大。「自分は大丈夫」と油断せず、家族全員でチェックし、感染していれば同時に駆除する必要がある。

「昔のこと」「清潔にしていれば大丈夫」など、アタマジラミについて何となくのイメージで決めつけていた人も少なくないだろう。しかし、そうした決めつけが、「子どもから親である自分へ」と、感染拡大の一因になってしまう。誰でも感染する可能性があるからこそ、正しい知識を身に付けておきたい。


文=明日陽樹/考務店
取材協力=キンチョウ
http://www.kincho.co.jp/